2006 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する腫瘍血管特異的な因子をターゲットとした新しい抗腫瘍療法の開発
Project/Area Number |
17591372
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60375631)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70166156)
木村 文夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (70334208)
加藤 厚 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70344984)
|
Keywords | 膵臓癌 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / リンパ管新生 / 分子標的療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は幼若血管内皮細胞に特異的に発現するマーカーであるendoglinの膵臓癌における発現を検討し、血管新生に対するその役割を解明することにより膵臓癌の新しい治療法を開発することにある。 膵癌組織でのEndoglin発現の検討 我々は前年度にてTGF-β受容体の構成成分の一つであるendoglinが膵臓癌において癌組織内とその極周囲の微少な血管にのみ発現していることを見いだした。一方で、正常組織においては一般的な血管内皮細胞のマーカーであるPECAMの発現を認める内皮細胞もほとんど発現を認めていなかった。そこで、組織学的な検討の症例数を増やし、合計で36例の膵臓癌切除標本を使い、組織の微少血管密度を測定し、これらと各症例の予後とを比較した。 すると、PECAMに染色された微細脈管密度は手術後の生存期間、無病生存期間とは相関を認めなかったが、endoglinに染色された微細脈管密度は統計学的有意差をもって微細脈管密度が低いものほど術後の生存期間、無病再発期間が長かった。このことから、endoglin陽性の脈管は主に腫瘍に引き起こされた新生血管であり、この量が多い、すなわち、血管新生が盛んに引き起こされる腫瘍は悪性度が高い事が示唆された。 リンパ管における発現 Endoglinはこれまで、血管内皮細胞に発現するとされていた。しかし、我々は膵癌組織の免疫染色の結果を検討している内に、PECAM陰性、endoglin陽性の脈管構造があることを発見した。そこで、この構造がリンパ管でないかと推測し、リンパ管内皮細胞を特異的に染色するD2-40抗体と抗endoglin抗体を用いて連続切片の免疫染色を行った。すると、これら2種類の抗体両方により染色される脈管構造を認め、endoglinは腫瘍内のリンパ管内皮細胞にも発現を持つことを示した。 本研究期間では達成できなかったが、今後、抗体や遺伝子治療の技術を用いてendoglinを標的とした新しい治療法の開発を目指す予定である。
|
Research Products
(1 results)