2005 Fiscal Year Annual Research Report
阻血障害肝における再生シグナルの解明と転写因子制御による肝再生促進に関する研究
Project/Area Number |
17591373
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 厚 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70344984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
吉留 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10312935)
清水 宏明 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80272318)
澤田 成朗 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (50375630)
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Keywords | 阻血 / 再灌流 / 転写因子 / サイトカイン / ケモカイン / 障害肝 / 閉塞性黄疸 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
1.阻血再灌流の肝再生の機序とその制御に関する検討 マウスの部分肝阻血モデルを用いた肝阻血再灌流後の肝再生に関する検討では、RT-PCR法を用いたmRNAの半定量により阻血再灌流早期よりactivinの発現が上昇していた。このことは再灌流早期には肝再生が抑制的に作用している可能性が示唆された。また、activinの生体内インヒビターであるfollistatineはactivinに遅れてその発現の上昇を認めており、肝再生の局面においてactivin-follistatine systemが重要な役割を果たしていることが示唆された。 また、抑制性サイトカインであるinterleukin-13(IL-13)およびIL-10は再灌流後約8時間後にピークをもって上昇を認め、阻血再灌流障害のlate phaseでの抑制効果に関与していた。特にIL-13は阻血再灌流後の内皮細胞障害の抑制効果を持っていることが血中ヒアルロン酸および組織学的検索により証明され、内皮細胞の産生する肝再生抑制因子であるtransforming growth factor(TGF)を通して、肝再生をコントロールしている可能性が示唆された。 2.障害肝における肝阻血再灌流障害の機序とその制御に関する検討 マウスの胆管ligationにより閉塞性黄疸肝モデルを作成、その後に肝阻血再灌流障害を惹起させ、その機序を検討した。血清ALTからみた肝細胞障害は、7日目の黄疸肝モデルにおいて阻血再灌流後に阻血時間に依存して有意の上昇を認め、さらに生存率は有意に低下しており、閉塞性黄疸後の阻血時間の多寡がその後の肝障害と生存率に影響を与えることが判明した。しかしながら肝組織中の好中球浸潤をMPOおよび組織学的に検討すると黄疸肝モデルにおいてもその増強を認めず、好中球に依存した肝細胞障害の機序以外の何らかのメカニズムが働いていることが示唆された。また閉塞性黄疸モデルでは転写因子であるNFkBおよびAP-1の増強を認めており、またproinflammatory cytokineのひとつであるTNF-alphaの発現上昇を認めていた。このことは、閉塞性黄疸肝における阻血再灌流障害早期にinflammatory cascadeが惹起され、その後の肝細胞障害に影響を及ぼしていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)