2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌新規血清腫瘍マーカーGPC3、AKR1B10の臨床応用
Project/Area Number |
17591378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緑川 泰 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10292905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 修一 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 助手 (30345152)
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Keywords | マイクロアレイ / 血清腫瘍マーカー / 肝細胞癌 / GPC3 / AKR1B10 / 遺伝子治療 / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
外科的に切除された肝細胞癌よりRNAを抽出し、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析によりGPC3およびAKR1B10が肝癌で特異的に発現上昇していることを確認した。GPC3については、すでに血清マーカーとして臨床応用され得ることを報告している。また、画像診断技術の向上により、従来の古典的肝癌に加えて早期肝癌、肝細胞癌類似病変が発見されるようになり、肝細胞癌に対する治療を行うべきか否かの決定が、病理診断においてさえも困難である症例は増えている。このような症例に対し、GPC3を肝癌症例100例に対して免疫染色を行い、高率にGPC3により肝細胞癌の診断が可能であることを示し、GPC3が病理用マーカーとして実用化可能であることを報告した(Yamauchi et al, Modern Pathol. 2005)。遺伝子治療としては、GPC3を高発現するHepG2をマウスに移植して生じた腫瘍に、抗GPC3モノクローナル抗体を血管内投与すると腫瘍が著しく縮小することから、抗体による肝細胞癌に対する治療効果が期待される。 一方、AKR1B10については、その糖代謝能よりアドリアマイシン耐性に関与していると推測し、以下の実験をおこなった。AKR1B10を高発現するPLC/PRF/5細胞株をsiRNAによりノックダウンすることにより、アドリアマイシン投与による細胞増殖能の変化を調べたところ、AKR1B10の発現低下によりアドリアマイシンの感受性が有意に上昇していることが確認された。さらに、PLC/PRF/5をヌードマウスに皮下に移植し、アテロコラーゲンによりsiRNAを腫瘍に浸潤させてアドリアマイシンの感受性を比較したところ、AKR1B10ノックアウト群でアドリアマイシン投与による腫瘍縮小効果が有意であった。以上より、AKR1B10はアドリアマイシン抵抗性に関与する遺伝子であることが推察された。
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Research Products
(6 results)