2007 Fiscal Year Annual Research Report
血中微小癌細胞の再発因子としての有用性の検証:食道癌における多施設前向き臨床研究
Project/Area Number |
17591381
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神田 達夫 Niigata University, 医歯学系, 講師 (80303147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10323966)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90401736)
|
Keywords | 食道癌 / 血中微小癌細胞 / PCR / CEA / SCC / 臨床試験 / 再発 |
Research Abstract |
【前年度までの概略】 本研究は、根治切除可能な食道癌患者を対象に、血中癌細胞と予後との関連を多施設共同臨床試験として調べるものである。平成18年度中に全4施設で登録が開始され、同年度内に5例の分析が終了した。 【平成19年度の実績】 平成19年度も引き続き、適格症例の登録が行われた。平成19年8月7日までに20例の登録を得た。8月16日に第4回の分析結果が報告された。過去3回の分析も含め、計20例全例において患者血液中にから有意な腫瘍特異的mRNAは検出されなかった。この結果はSCCを標的にした分析でも、CEAを標的にした分析でも同様であった。同時に行ったGAPDHを標的とした分析では、きれいな増幅がかかっており、PCRあるいは抽出されたRNAには問題がないものと思われた。これら分析結果を受け、グループ内で試験の継続につき協議がもたれ、8月24日に試験の終了が決定された。 その後、分析方法の妥当性について検討が加えられた。既に昨年報告したようにSCC、CEAに関する定量的PCRについては、癌細胞から直接抽出したRNAを鋳型にした基礎実験から、問題ないものと結論付けられている。分析元のBML社に原因についての調査を依頼したが、原因を明らかにすることはできなかった。特に、CEAを標的にした血中微小癌細胞分析は既に多くの施設で行われており、BML社においても他施設からの委託で実施している。その胃癌を対象とした分析では約半数の症例において陽性に出ているとの報告を受けた。平成20年3月に、BML社にCEA分析を委託している施設に血液試料の採取法などにっき、直接出向いて調査を加えた。しかしながら、動脈血採取と動脈血採取の違い以外の明らかな相違は見出せながった。腹腔内に存在する腫瘍は理論的に大静脈血、動脈血、末梢静脈血の順に循環し、動脈血採取が本試験において陽性例が得られなかった原因とは考えにくい。 【今年度の計画】 本研究で陽性例が得られなかった原因として検体の搬送に伴う血液検体の劣化(RNAの分解)が最も疑わしい。現在、RNaseによるRNA分解を避け、全血からRNAを効率に抽出する医療用試験管が市販されている(パクスジーンRNA採血試験管)。ご許可願えるなら、こめ専用採血管を用いて、血行性転移をもっている食道癌患者(6名程度)を分析することにより、血中癌細胞分析の信頼性を確認したい。
|