2008 Fiscal Year Annual Research Report
血中微小癌細胞の再発因子としての有用性の検証:食道癌における多施設前向き臨床研究
Project/Area Number |
17591381
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神田 達夫 Niigata University, 医歯学系, 講師 (80303147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10323966)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90401736)
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Keywords | 食道癌 / 血中微小癌細胞 / PCR / CEA / SCC / 臨床試験 / 再発 |
Research Abstract |
【前年度までの概略】本研究は、根治切除可能な食道癌患者を対象に、血中癌細胞と予後との関連を多施設共同臨床試験として調べるものである。平成19年度までに参加4施設から計20症例が登録されPCR法による患者血液の分析が行われた。しかし、全20例において有意な腫瘍特異的mRNAが検出されたものはいなかった。 【平成20年度の実績】上記結果を受け、平成20年度は分析方法の妥当性、特に血液検体の保存と搬送における問題点の有無を明らかにすることに充てた。 遠隔転移を生じている食道扁平上皮癌患者2名の末梢血液を採取し、パクスジーンRNA採血試験管(RNaseによるRNA分解を避け、全血からRNAを効率に抽出する医療用試験管)に入れ一晩冷所保存した。その後、当施設でtotal RNAを抽出し、前述の臨床試験と同様に、CEAを標的にした定量的PCR法により血中微小癌細胞分析を行った。その結果、2例いずれにおいても有意なCEA mRNAの検出を認めることは出来なかった。 【解釈と結論】RNA抽出用専用試験管の使用においても、血行性転移をもつ食道扁平上皮癌患者の末梢血から腫瘍特異的mRNAを検出することが出来なかった。我々の過去の研究においては、患者全血から分離した白血球分画からRNAを抽出しており、この癌細胞含有分画の濃縮の有無が分析結果に影響を与える可能性が高いと思われた。臨床検査として広く微小癌細胞測定を行うには、全血で保存、輸送する必要があり、この点における技術的革新が血中癌細胞分析の臨床応用に必要不可欠と思われる。
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