2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるH-RAS-RINl signaling cascadeの解析
Project/Area Number |
17591384
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
五井 孝憲 福井大学, 医学部, 助手 (60225638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 明夫 福井大学, 医学部, 教授 (10174608)
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Keywords | 大腸癌 / RIN1遺伝子 / シグナル伝達系 |
Research Abstract |
RIN1遺伝子は染色体11q13.2上に位置し、coding region 2352bpからなる分子であり、3'側にはH-Ras,14-3-3蛋白質と結合するドメインを有しており細胞内シグナル伝達経路の重要な1分子であることが推測される。現在まで大腸癌において細胞内シグナル伝達系の検討はほとんど無いことから、RIN1分子に注目して大腸癌との関連を検討している。 方法:(1)大腸癌細胞株および当科において大腸癌切除術を施行した症例から原発巣および隣接正常粘膜のRNAを抽出後、RIN1 mRNAの発現量を測定し、臨床病理学的因子ならびに生存率との関連性について検討した。(2)RIN1蛋白質高発現型大腸癌細胞株を使用してRIN1蛋白質の局在ならびにRas蛋白質、14-3-3蛋白質の結合を検討した。 結果:(1)大腸癌細胞株におけるRIN1mRNAの発現は発現に違いがあるものの5例中4例に発現を確認した。ヒト大腸癌症例では大腸隣接正常粘膜と比較して、大腸癌原発巣においてRIN1mRNAの発現が5倍以上の症例を陽性とすると陽性症例は50%であった。臨床病理学的検討では明らかな相関を示す因子は無かったが、5年生存率はRIN1遺伝子発現陰性症例では約70%であったのに対して、陽性例は約40%と有意に不良であった。(2)RIN1蛋白質の局在は主に細胞質に認められ、14-3-3蛋白質と結合を示したが、Ras蛋白質との結合は認めなかった。 以上より、大腸癌においてRIN1分子の発現異常は大腸癌の悪性度を解明するために重要であると考えられる。特に細胞内の局在ならびに結合蛋白が重要と推測され、検討を継続中している。
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