2006 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌の腹膜転移再発に対するgefitinibを用いたテーラーメイド治療法の確立
Project/Area Number |
17591388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小寺 泰弘 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10345879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 昭公 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70167542)
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Keywords | 胃癌 / 分子標的治療 / ゲフィティニブ / 感受性試験 / PI3K経路 / MAPK経路 / アポトーシス / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
1.胃癌肝転移巣より樹立したcell line GLM-1,GLM-2,GLM-4はgefitinibに感受性が高く、HER2高発現、EGFR低発現であった。FISHではGLM-1,GLM-4でHER2遺伝子の増幅を認めた。GLM-1,GLM-4におけるgefitinibによる増殖抑制効果はin vivoでも確認した。 2.GLM-1,GLM-2,GLM-4を1〜10μMのgefitinibで処理するとapoptosisが誘導されることをcaspase 3/7活性で示した。apoptosis誘導はP13K inhibitor (LY294002)を用いても同様に認められたが、これはリン酸化されたAktの顕著な低下を介していた。一方、MEK1/2 inhibitor (U0126)ではapoptosis誘導は顕著ではなかった。以上より、これらの細胞増殖はHER2刺激に端を発したPI3K経路のシグナル伝達を介して起きているものと思われた。 3.HER2高発現のGLM-1において、AktやErk1/2のリン酸化はEGF刺激によって亢進したが、gefitinibにより抑制された。こうしたgefitinibの効果は、HER2低発現のMKM5では認められなかった。 4.臨床検体の感受性試験ではHDRA法を中止しCD-DST法を採用した。この方法で期間内に得られた30例の手術切除標本でCD-DST法を施行し、うち20例で感受性を計測可能であった。EGFR, HER2の免疫染色では、gefitinib感受性3例ではEGFRは陰性であったが、HER2は強陽性2例、陰性1例であった。また、肝転移をきたした5例中2例が高感受性・HER2強陽性であった。以上より、HER2高発現でgefitinib感受性を有し肝転移をきたす亜型は一定頻度で存在することがわかった。
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Research Products
(3 results)