2005 Fiscal Year Annual Research Report
血中に存在する微量な癌細胞が担癌生体におよぼす影響
Project/Area Number |
17591399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
池口 正英 鳥取大学, 医学部, 教授 (20193188)
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Keywords | 癌 / 血液中癌細胞 / 免疫学的感作 / 微小転移 / 再発 / CEA mRNA / リアルタイムRT-PCR / 手術操作 |
Research Abstract |
以前の我々の研究によって、消化器癌特に胃癌においては、手術操作によって癌細胞が血中に播種されることを証明した。播種され、血中へ放出された癌細胞は速やかに血中から排除されることが判明したが、術後早期に血中に存在する微量な癌細胞が生体におよぼす影響はいまだ不明である。今回の研究によって、血中に存在する微量な癌細胞と生体の免疫反応の関係を臨床的に、また動物実験を通して明らかにすることが研究の目的である。 1.本年度の研究の成果 2001年11月〜2004年10月まで当科で手術を行った102名の胃癌患者より、術直前、術直後の末梢血を採取した。CEA mRNAをプローブとしてreal-time RT-PCRにて癌細胞の有無を判定した結果、術前にCEA陽性例は1/102(1%)であったのに対し、術直後は40/102(39.2%)にCEA mRNAが陽性であった。治癒切除が施行された79例では、29例(36.7%)がCEA mRNA陽性であった。2006年2月までこの79例の患者の予後を追跡調査した結果、14例に再発を認めた。術後CEA陽性29例中再発は2例(6.9%)、術後CEA陰性50例中再発は12例(24%)であり、有意の差ではないものの治癒切除後の胃癌再発は術後CEA陰性例に多い結果であった。胃癌の再発は、手術時に残存している微量な癌細胞が年余を経て増大してくる結果と考えられる。手術時に主癌巣から血液中に放出される癌細胞は、速やかに血液中の白血球やマクロファージにより貪食されると考えられる。この時に、癌細胞の情報(膜抗原など)が免疫担当細胞へ伝達され、手術時に遺残した微量癌組織は免疫担当細胞により排除されるのではないかと考えられる。 2.マウスを用いた実験 動物実験施設において,マウス(C57BL/6)の皮下に腫瘍細胞(B160VA:メラノーマ)を接種し、同時に血中に微量な腫瘍細胞を注入する実験を行う予定である。皮下に接種した腫瘍が、血中に腫瘍細胞を注入した群で縮小したり、排除されるのか否かを現在検討している。血液中に微量の腫瘍細胞を注入した場合の免疫系の変化も現在併せて検討中である。本研究によって特異的癌ワクチン療法への道が開かれると期待される。
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Research Products
(3 results)