2006 Fiscal Year Annual Research Report
血中に存在する微量な癌細胞が担癌生体におよぼす影響
Project/Area Number |
17591399
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
池口 正英 鳥取大学, 医学部, 教授 (20193188)
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Keywords | 癌 / 血液中癌細胞 / 免疫学的感作 / 微小転移 / 再発 / CEA mRNA / リアルタイムRT-PCR / 手術操作 |
Research Abstract |
胃癌において、手術操作によって癌細胞が血中に播種されることを我々は証明した。血中へ放出された癌細胞は速やかに血中から排除されるが、術後早期に血中に存在する微量な癌細胞が生体におよぼす影響はいまだ不明である。我々の臨床データによれば、治癒切除が施行された胃癌79例では、29例(36.7%)がCEA mRNA陽性であった。2006年2月までこの79例の患者の予後を追跡調査した結果、14例に再発を認めた。術後CEA陽性29例中再発は2例(6.9%)、術後CEA陰性50例中再発は12例(24%)であり、有意の差ではないものの治癒切除後の胃癌再発は術後CEA陰性例に多い結果であった。胃癌の再発は、手術時に残存している微量な癌細胞が年余を経て増大してくる結果と考えられる。手術時に主癌巣から血液中に放出される癌細胞は、速やかに血液中の白血球やマクロファージにより貪食されると考えられる。この時に、癌細胞の情報(膜抗原など)が免疫担当細胞へ伝達され、手術時に遺残した微量癌組織は免疫担当細胞により排除されるのではないかと推察した。よって、以下の実験を行い、血中に存在する癌細胞と担癌生体の免疫応答を研究した。 [マウスを用いた実験] 動物実験施設において,マウス(C57BL/6)の皮下に腫瘍細胞(B160VA:メラノーマ)を接種し、3日後にマウス尾静脈へ微量な腫瘍細胞を注入する実験を行った。3群(1.B160VA 2x10^5皮下接種群、2.B160VA 2x10^5皮下接種群+3日後生食0.1ml静注群、3.B160VA 2x10^5皮下接種群+3日後B160VA 1x10^O3静注群)を設定し、各群5匹で検討した。皮下腫瘍の増大速度は2群が最も速やかで、以下1群、3群の順であった。生存曲線も2群が最も不良であり、以下1群、3群の順であった。しかし、3群とも腫瘍の皮下接種後45日で全てのマウスは死亡し、有意の差は得られなかった。腫瘍の皮下接種後30日に脾臓を摘出し、脾臓内のCD8+ T cellの密度をフローサイトメトリーにて確認したが、3群間に有意の差を認めなかった。 [今後の展望] 腫瘍の皮下接種後1回の静脈内投与では、十分な免疫感作はおきない可能性が示唆された。今後、3日後と6日後に腫瘍細胞の静注群を設定し、マウスに免疫感作が誘導されるか否かを検証する。
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Research Products
(3 results)