2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌における各種分子標的の発現と分子標的治療物質に対する感受性に関する研究
Project/Area Number |
17591400
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
栂 とも子 島根大学, 医学部, 技術専門職員 (20403462)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 幸直 島根大学, 医学部, 助手 (50304275)
小池 誠 島根大学, 医学部, 助手 (30325055)
|
Keywords | 膵癌 / 分子標的療法 / 抗癌剤感受性試験 / 癌化学療法 / 抗体療法 |
Research Abstract |
現在、膵癌以外の悪性腫瘍において標的療法の有効性が報告されている分子標的であるHER-1、HER-2、c-Kit、について膵癌91症例の免疫染色(免染)を行なった。また、癌抑制遺伝子:TGFβ1、Smad4、細胞増殖の指標としてのki-67アポトーシス遺伝子:Baxについても同様に免染を行った。その発現を臨床病理学的に解析し、化学療法、放射線療法、外科的手術と併せて、リンパ節転移、生存率への影響を多面的に解析した。その結果、浸潤性膵管癌においてチロシンキナーゼレセプターc-KitとTGFβ1の発現がともに陽性であるグループは、ともに陰性であるグループと比較して生存率が有意に高く、また化学療法の効果にもその発現の有無が大きく関係することが判明し、仁尾義則(前任の研究代表者)他が、論文に発表した(Anticancer Res.25(5)3523-9,2005)。 さらに、5-FUの代謝に関係するpyrimidine代謝酵素TP、DPD、OPRTについても免染で蛋白発現を検討した。そのうち20症例のパラフィン切片からDTP法によりTP,DPD,OPRTのmRNAの発現量を調べた。その結果、DPD発現(-)例、OPRT発現(+)例において術後化学療法が有効であることが判明し、現在、国際学術雑誌へ投稿する準備中である。 またHER-1、HER-2を膵癌20症例についてFISHを行い、細胞増殖指標ki-67の免染の発現と併せて各遺伝子の増幅について考察をすすめている。FISHは陽性、陰性の違いが免染に比較して画像上明確である。またki-67は免染だが、核内抗原であるので陽性細胞のカウントがしやすい。そこで今回備品として設置した画像解析、計測ソフトウェアーImage-pro-plusを用いて機械的に陽性細胞をカウントし、病巣に占める割合を自動計算することを検討中である。また、FISHついては遺伝子座の増幅を画像解析装置でやはり自動的にカウントする。このように免染とFISHの計測結果を同時に画像上で解析することで抗体療法の適応検査についてあらたな知見がえられると予想している。
|