2006 Fiscal Year Annual Research Report
胆管癌に対する腫瘍選択的増殖型及び自殺遺伝子導入型アデノウイルスによる遺伝子治療
Project/Area Number |
17591409
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
本田 和男 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00209321)
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Keywords | 胆管癌 / 自殺遺伝子 / アデノウイルスベクター / UPRT / HSV-tk / 腫瘍選択増殖型 |
Research Abstract |
胆管癌は化学療法や放射線療法の効果が乏しいため、根治手術が不可能な場合は予後不良である。我々は、ヒト胆管癌細胞株HuCCT1に対して,大腸菌のuracil phoshoribosiltransferase (UPRT)遺伝子とHerpes simplex virus-1 thymidine kinase (HSV-tk)遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクターAxCAUTを作製し、5-fluorouracil (5-FU)、ganciclovir (GCV)の抗腫瘍効果を培養細胞系と動物モデルで検討した。さらにE1B-55kDを欠損した腫瘍選択的増殖型ウィルスに、両遺伝子を組み込んだAxE1CAUTを用いて抗腫瘍効果を検討した。 培養胆管癌細胞において、5-FU、GCVの薬剤感受性は、アデノウィルスAxCAUTのmultiplicity of infection (MOI)数が増加するに伴い増強していた。さらに5-FU、 GCVは単独投与よりも併用投与で、より薬剤感受性が増加していた。さらに5-FU、GCVは単独投与よりも併用投与で、より薬剤感受性が増加していた。腫瘍選択的増殖型ウィルスAxE1CAUTはMOI数の増加に伴い抗腫瘍効果を示した。アデノウィルスAxCAUTを投与されたマウス皮下担癌モデルにおいても、5-FU、 GCVは単独投与群と比較して併用投与で抗腫瘍効果を示した。さらに腹膜播種モデルにおいて、AxE1CAUT投与群はAxCAUT投与群に比べ有意に生存率を延長させた。胆管癌に対する自殺遣伝子療法として、腫瘍選択的増殖型アデノウィルスベクターとUPRT/5-FU、HSVtk/GCVとを組み合わせることによりウィルス自体の腫瘍融解作用に加えて、薬剤感受性遺伝子を発現させより強力な抗腫瘍効果を示した。 次に、我々は5FUの標的酵素であり、悪性腫瘍において予後規定因子となることが多いthymidilate synthase (TS)に注目した。5FUは代謝産物であるFdMPが補酵素である還元型葉酸の存在下にthymidilate synthase (TS)とternary complexを形成し、DNAの合成阻害を起こす。AxCAUTを用いて胆管癌細胞に5FUの代謝産物であるFdUMPを過剰生成させ、その場合のTSの発現をmRNAレベルで検討した。TS発現の差はAxCAUTとAxCALacZ間で認められず、経時的な変化も認めなかった。このことはFdUMPのみならずFUMPなどの5FUの代謝産物がTSの発現を調節している可能性は低いと考えられた。
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