2005 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成システム系制御に基づく膵癌治療法の開発および予防法への展開
Project/Area Number |
17591414
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 幸二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50191226)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 助手 (30315080)
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30372741)
|
Keywords | 形態形成 / 膵癌 / Hedgehog / NFkB / 炎症 / 閉塞性膵炎 / Sonic Hedgehog |
Research Abstract |
最近、膵発癌・進展に、形態形成システムであるHedgehog(HH)シグナルの活性化が関与することが報告された(Thayer et al. Nature 2003)。シグナル上のリガンドであるSonic HH(Shh)の過剰発現がその原因であるとされているが、過剰発現するメカニズムについては明らかにされていない。我々は、膵癌に随伴する閉塞性膵炎が癌の進展に影響を与えるという仮説のもとに、正常膵・膵癌・膵炎・膵内分泌腫瘍の切除標本における炎症性シグナルであるNFkBとShhの発現状態を解析した。膵炎および膵癌ではNFkB・Shhともに高発現していたが、正常膵・膵内分泌腫瘍ではともに発現が低く、統計学的にも有意な相関関係を示した。各種NFkB阻害法(PDTC・decoy ODN・dominant-negative NFkB)でNFkB活性を低下させた膵癌細胞では、Shhの発現量の減少とともにHHシグナルの活性が低下していた。また、IL1-beta・TNF-alfa・LPSといったNFkB経路の炎症性シグナル伝達物質は、全てShhの発現量を上昇させ、細胞増殖も活性化した。NFkB阻害剤もしくはHHシグナル阻害剤であるシクロパミン投与で増殖は抑制された。Shhの強制発現は、NFkB阻害剤の膵癌細胞増殖抑制効果を抑制し、増殖活性は回復した。また、HHシグナルの抑制を行ってもNFkBの活性には影響を与えなかった。以上のことより、NFkBはHHシグナルの上流調節因子としての機能を有し、膵癌にともなう閉塞性膵炎の炎症刺激がNFkB経由でShhリガンドの転写を増加させ、結果的にHHシグナルを活性化し膵癌の進展に寄与していることが明らかになり、これら炎症性シグナルやHHシグナルが膵癌治療の新たな標的になることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)