2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線性腸炎に対するHGF発現プラスミド・キトサン複合体を用いた遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
17591432
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小山 文一 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40316063)
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Keywords | 放射線性腸炎 / HGF / 遺伝子治療 / キトサン / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
本年度は、プラスミド・キトサン複合体を作製とマウス放射線性腸炎モデルの組織学的検討を行った。 レポーター遺伝子lacZを発現するlacZプラスミドからプラスミドDNAを精製し、キトサン溶液に加えてlacZプラスミドDNA・キトサン複合体を作製した。このlacZプラスミドDNA・キトサン複合体をマウスの飼料に混合し、C57/BL6マウスに摂取させ、消化管(胃、小腸、大腸)を含む各種臓器における遺伝子発現性をX-gal染色にて検討した。胃・上部小腸においてのみ、微弱な遺伝子発現を認めた。現在、より強力な遺伝子発現を得るべくプラスミドDNA・キトサン複合体を改良中である。 これと並行してC57/BL6マウスにX線照射を行い、放射線性腸炎モデルを作成し、放射線性腸炎の早期障害と晩期障害の過程を検討した。まず照射線量別に小腸障害程度を実体顕微鏡下観察ならびにH.E.染色標本にて検討した。照射線量6Gyで上皮の表層性びらんが、8Gyでcryptの破壊が認められた。10Gy以上では広範な潰瘍形成が認められた。12Gy以上の照射は致死線量であった。TUNEL染色による検討では、Apoptotic Indexは、照射後6時間で最高値となり、15Gy照射で最も明瞭であった。晩期障害の線維性変化は、8-10Gy照射で観察された。以上の知見から、本研究における至適X線照射量は、早期障害では15Gy、晩期障害では8-10Gyと決定した。
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