2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管作動性物質投与による食道癌手術時の消化管吻合をより安全にするための研究
Project/Area Number |
17591438
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池田 佳史 帝京大学, 医学部, 助教授 (20222870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新見 正則 帝京大学, 医学部, 助教授 (80198415)
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Keywords | 組織血流量 / 胃管 / lipo-PGE1 / Layser-Doppler flowmetry法 / PGE1濃度 |
Research Abstract |
血管作動性物質であるPGE1は末梢血管を拡張し阻血部の血流を改善すると報告されているが、速やかに肺で失活されるため持続投与が必要となる。一方、lipo-PGE1は、レシチンでおおわれた直径約0.2μmの脂肪微粒子中にPGE1を封入したリポ製剤であり、肺での失活を軽減し担体となった脂肪粒子が障害血管壁に集積する作用のため1日1回の静注で作用としては十分であるといわれている。PGE1やlipo-PGE1の投与により胃管阻血部での組織血流量の増加が認められ、lipo-PGE1でその作用は投与終了10分後でも持続する事を既に報告した。今回、lipo-PGE1の一回投与の効果の持続時間とPGE1血中濃度について動物実験で行ったので報告する。【対象と方法】ブタ5匹を全身麻酔下に開腹し大弯側胃管を作製し短胃動静脈と大腿動脈に採血ルートを確保した。血流は、組織血流計(ALF21:アドバンス社、東京)を用いて胃管先端から4cmの部位の組織血液量を阻血部として測定した。PGE1濃度はProstaglandin Enzyme Immunoassay Kit(AssayDesigns, inc.Ann Arbor, USA)を用いて測定した。lipo-PGE1を、0.05μg/kg/minで10分間投与し、投与前、投与中、投与終了10、20、30、60、120分後に血流量を測定し、各ポイントで採血した。【結果】薬剤投与前血流量は、8.1±1.0mlであり、薬剤投与中血流は13.5±1.4mlと有意に増加した(p<0.01)。また、投与終了10分後でも13.0±1.3m1と増加したままであった。以後徐々に低下したが、120分後でも10.2±1.0mlと投与前と比較し有意に増加していた(p<0.05)。血中PGE1濃度は、投与中は投与前78±22pg/mlから233±22pg/mlと有意に上昇したが、投与終了30分後で大腿動脈血、短胃動脈血は投与前値と同じ80±12pg/mlまでに低下していた。しかし、短胃静脈血のPGE1濃度は155±24pg/mlであり投与終了120分値においても134±17pg/mlと投与前値のよりも有意に高かった。【まとめ】血管作動性物質でHpo-PGE1の投与により阻血部での組織血流量の有意な増加が認められ投与終了120分間持続していた。大腿動脈や短胃動脈のPGE1濃度は投与終了30分後で投与前値までに低下していた。一方、短胃静脈血のPGE1濃度は投与終了120分値でも投与前値より有意に高く、阻血部の組織中に集積し効果を持続する要因になっているとことが示唆された。
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