2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤耐性因子GST-Pを標的としたアポトーシス誘導機構の解析と治療への応用
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17591441
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
朝倉 正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30138705)
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Keywords | 癌 / 標的治療 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.GSH-DXRのJNK活性化を介したミトコンドリア経路によるアポトーシス誘導 ラット肝癌細胞AH66およびヒト肝芽腫細胞HepG2のJNK活性阻害剤SP600125での処理、あるいはJNK dominant negative(K55R)の発現はGSH-DXR処理によるCaspase-3活性化とDNA断片化を抑制した。さらに、GSH-DXR処理はミトコンドリアからのCytochrome c放出とCaspase-9活性化を促し、JNKの阻害がこれらを抑制したことから、GSH-DXR誘導アポトーシスがJNKを介したミトコンドリア経路であることを確認した。 2.GST P1-1のJNK活性に及ぼす効果(試験管レベル) JNKとの結合に関わるGST P1-1のC末端領域欠損体(ΔC/194-209)およびC末端領域変異体(R201A)、さらにGST P1-1の活性中心の変異体(W38HおよびC47S)のコンビナントタンパク質をそれぞれ調製し、活性型JNK(細胞から抽出)に添加した。C末欠損体およびC末変異体はいずれもJNKと結合せずJNK活性抑制能もなかった。また、活性中心変異体はJNKと結合するもののJNK活性抑制能は非常に低下した。さらに、JNKと野生型GST P1-1との結合体にGSH-DXRを添加すると、その結合は解離しないにも関わらずJNK活性が回復したことから、GSH-DXRによるGST P1-1活性の阻害がJNK活性に重要であることが判明した。 3.GST P1-1のJNKへの相互作用と薬剤耐性(細胞レベル) 野生型および変異型GST P1-1を、HepG2細胞に発現させたところ、変異型では薬剤感受性にほとんど変化はみられなかったが、野生型では薬剤に対する抵抗性が高まった。さらに、野生型はJNKと結合しその活性を阻害していた。これらの結果は試験管レベルの結果と一致した。
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