2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤耐性因子GST-Pを標的としたアポトーシス誘導機構の解析と治療への応用
Project/Area Number |
17591441
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Research Institution | Jikei University |
Principal Investigator |
朝倉 正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30138705)
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Keywords | 癌 / 標的治療 / アポトーシス / JNK / Bcl-xL / Bax |
Research Abstract |
1.JNK活性化によるアポトーシス誘導のためのJNKの標的分子検索 GSH-DXRによるアポトーシス誘導がJNK活性化を介したミトコンドリア経路である結果を得たので、標的候補分子としてBcl-2 familyのBcl-xL,Baxに着目して、これらの機能的、質的変化を調べた。 Bcl-xLを過剰発現させたAH66をGSH-DXRで処理すると、ミトコンドリア膜上でJNKの活性化と一致してBcl-xLは脱アミド化され抗アポトーシス効果が低下した。また、Bcl-xL脱アミド化変異体、脱アミド化抑制変異体を用いた結果から、JNKを介したBcl-xLの脱アミド化による不活化が考えられた。一方、Baxを過剰発現させたAH66のGSH-DXR処理で、JNK活性化と一致してBaxの細胞質からミトコンドリアへの移行が観察され、JNKのターゲット分子の一つとしてアポトーシス誘導への関与が示唆された。 2.肝癌発症過程における標的治療の有効性や早期治療効果、発癌予防の可能性の追求 ラットの実験的肝癌発症の各段階におけるGST P1-1発現量の変動とJNK活性の相関について調べた。 ラットへのジメチルニトロサミン投与により、2〜3週でmini-fociが観察され、5〜6週でFoci/noduleが多くなり、それ以降ではnoduleが形成された。Foci/noduleにおけるGST P1-1量は投与後5週目で著しく上昇し、7週目、10週目でやや減少した。JNKの発現量については変動はなくFoci/noduleの形成に伴いJNK活性の抑制が癌化を亢進していることが示唆された。また、GSH-DXRの殺細胞効果は各段階で同程度の効果を示したことから、癌化によるGST P1-1耐性をGSH-DXRが有効に克服できる可能性が得られた。
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