2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591446
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
篠原 一彦 東京工科大学, バイオニクス学部, 教授 (00327082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苗村 潔 東京工科大学, バイオニクス学部, 講師 (90302752)
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Keywords | 医療福祉 / 外科 / 大腸内視鏡 / 力学的解析 / 自走式内視鏡 |
Research Abstract |
(1)前年度より製作を続けた大腸内視鏡挿入時の張力測定システムを利用して直腸からS状結腸、下行結腸までの挿入に際する負荷を実測し、挿入時間・負荷値・負荷時間・負荷積分値・挿入負荷平均値・挿入負荷積分値等を熟練者と非熟練者間で比較した。その結果最大負荷積分値は熟練者と非熟練者では有意な差異は無いが、熟練者は連続的・平均的負荷を大腸に与えているのに対し非熟練者は非連続的継続的負荷が大きいことが判明した。最大負荷時間は非熟練者の方が長く、最大負荷は熟練者が6.7N、非熟練者が7.3Nであり、平均負荷値は4Nであること、ループ解除時にはSDジャンクションに最も強い負荷がかかることなどの結果が判明した。 また豚腸管による破断検査を施行し最小9Nの破断力 で大腸が破断することが判明したが、ブタ切除大腸を利用した挿入モデルによる大腸内視鏡挿入時の張力測定については、測定途中の腸管自体の変性等の点からも正確かつ再現性のあるデータ測定が困難であることから判明したので今回の研究ではそれ以上の測定は行わなかった。 (2)自走式大腸内視鏡のプロトタイプとして当初は先端駆動力を発生させるユニットを開発する予定であった。しかし市販されているダブルバルーン式小腸内視鏡の使用経験(篠原)から、術者による挿入力を駆動力の一部として使用したほうが現実的であると判断した。このために第一に解決すべきことは、大腸ファイバースコープの途中のたわみを自由に制御することによりS字結腸および横行結腸の過伸展を回避することであると判断した。硬度可変型の大腸内視鏡は既に市販されているが、硬度の変化可能な部分は内視鏡の先端部分であって、途中の硬度を自由に変化させるものではない。(これは柔らかいファイバースコープの本体に剛体を出し入れすることによって先端の硬度を可変しているからである。)既存の大腸内視鏡挿入時にも細かい振動を内視鏡本体に与えることで腸管の進展を防ぎ腸管の直線化を図っていることを鑑み、振動子を内視鏡に組み込むことにより軟性内視鏡の硬度を任意の位置で可変されるというアイデアを策定した。今回はこのアイデアの妥当性を検証するために超小型軽量な振動子を用い軟らかいチューブに装着したモデルを作成した。振動子の振動をON、OFFさせることにより、チューブを押し込む際にあたかもやわらかいチューブが加振部分の硬度が増すような挙動をとることが判明した。今回の研究では実際の内視鏡にこの加振装置を組み込むことは時間的・予算的制限から実現できなかったが、柔軟なスコープの挿入時に途中の硬度を任意の位置で可変させる発想は自走式大腸内視鏡だけでなくイレウスチューブや血管内カテーテルなどの挿入技術の改良にも応用可能なものであって、大いなる臨床的効用が期待されるところである。 (3)平成17年度の研究で施行した大腸内視鏡操作手技の認知科学的解析結果に更なる考察を加え、IEA2006(国際人間工学会)および日本大腸肛門病学会で発表した。また(1)の第1報はライフサポート学会フォーラムで発表した。(2)についてはさらなる研究開発を続ける予定である。
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Research Products
(3 results)