2005 Fiscal Year Annual Research Report
食道・肺の発癌における喫煙・飲酒の標的遺伝子の解明
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17591451
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
浦本 秀隆 産業医科大学, 医学部, 助手 (90389445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉尾 賢二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70235927)
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
菅谷 将一 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
森田 勝 九州大学, 大学病院, 講師 (30294937)
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Keywords | 食道癌 / 肺癌 / 喫煙 / 飲酒 / 家族歴 / アルデヒド脱水素酵素 |
Research Abstract |
1)食道癌の多発のrisk factorの検討:食道内にはしばしば癌多発が認められる。喫煙、飲酒の癌多発に与える影響を明らかにする目的で、食道癌114例の切除標本を全割し、食道癌の数と喫煙、飲酒、を調べた。また、良性疾患症例228例を対照群とした。重度喫煙者、大酒家の頻度は対照群では各14,10%に対し、癌単発例では28%,30%、2病巣の症例では36%,55%、3病巣以上では67%,60%と食道癌の数が多いほどheavy smoker、大酒家の頻度が高かった。以上より、食道の全割切片を詳細に検討することにより、過度の喫煙、飲酒が食道癌の多発のrisk factorであることが明確に示された。(Morita et al., J Surg Oncol 2003) 2)食道癌症例における食道上皮のALDH2の発現に関する研究:食道癌51例の切除標本にてALDH2を免疫組織化学染色し、食道上皮におけるALDH2の発現を検討したところ、43例(84%)に発現を認めた。飲酒指数をみると、無、低、高発現群における大酒家の割合は各0,36,90%であった。さらにflushing陽性の頻度は無または低発現72%に対し、高発現17%のみであった。したがって、食道上皮のALDH2発現は遺伝子型と関係し、アルコール暴露により局所に誘導されると考えられた。(Morita et al.,Frontiers in Bioscience 2005) 3)ALDHおよびCYP450の体内分布に関する研究:飲酒による発癌のメカニズムの解明の一助とすべく、wild mouse、Aldh knock out mouseにおける代謝酵素の体内の分布を免疫組織化学染色、Western blotにて検討した。野生種では、ALDH2は肝臓のみならず食道、胃、大腸、肺、心臓等においても発現していた。また、Aldh2 knock out mouseではwild mouseより、ALDH1やチトクローム系酵素が発現しており、ALDH2欠損における他の酵素の代替的な機能が示唆された(Oyama et al.,Frontiers in Bioscience 2005)。
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Research Products
(6 results)