2006 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来内皮細胞成長因子を用いた血管内膜肥厚に対する遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
17591465
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山田 就久 福井大学, 医学部, 助手 (00397283)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 國義 福井大学, 医学部, 教授 (70144251)
|
Keywords | 血小板由来内皮細胞成長因子 / 動脈硬化 / 内膜肥厚 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
目的:血管内膜肥厚あるいは動脈硬化の成因の一つは血管平滑筋細胞の異常増殖及び生活化であることが知られており、これを制御することができれば動脈硬化性疾患の治療に結びつく可能性がある。我々は既に血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)のcDNAをラットの血管平滑筋細胞に導入すると、その増殖能および遊走能が有意に抑制されることを見出しており、本研究はラットの頚動脈内膜損傷モデルにおいて、FD-ECGF遺伝子により内膜肥厚を制御する方法を検討し、PD-ECGF遺伝子を利用した動脈硬化症に対する治療法の開発を目指すことを目的として行った。 方法:治療用プラスミドベクターpCIhTPをQiagen endotoxin-free plasmid extraction kitを用いて精製した。雄のSDラット(体重290〜310g)を用いて、2F Fogarty balloon catheter (Edwards Lifesciences, Irvine, CA)を使用したラットの総頚動脈内膜損傷モデルを作成した。モデルを作成した後、キトサンハイドロゲルに取り込ませたプラスミドベクターを直接血管外膜周囲に巻いた。ラットは以下の3群を用いてPD-ECGFによる治療効果を検討した。(1)治療群:pCIhTP投与。(2)対照群:pCILacZ投与。(3)Sham群:キトサンハイドロゲルのみを巻く。各々の群には8匹のラットを用いる。治療2週間後、血管組織を採集して、分子生物学および病理学的手法により遺伝子の発現および内膜肥厚を評価した。 結果:X-gal染色によりキトサンハイドロゲルによる血管壁への強い遺伝子導入が確認された。新生内膜肥厚はPD-ECGF遺伝子導入2週間後治療群において有意に減少した(Intima/media ratio,0.775±0.093 versus 1.795±0.124,p=0.001,pCIhTP vs. pCILacZ)。平滑筋α-actinに対する免疫組織学染色により新生内膜の平滑筋細胞含量を評価したところ、対象群に比べ、FD-ECGF治療群では平滑筋細胞の含量が有意に少ないことが明らかになった。 結論:PD-ECGF遺伝子を血管外膜側から投与することにより、新生内膜肥厚が有意に抑制されたことが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)