2006 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子の局所投与および血流源としての大網を組み合わせた冠動脈再生療法
Project/Area Number |
17591468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐地 嘉章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00399776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (60402856)
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Keywords | 血管新生療法 / Bio-CABG / バイオバイパス / 被覆大網 / bFGF徐放化シート |
Research Abstract |
われわれはすでにウサギ急性心筋梗塞モデルにおいて、bFGF徐放化ゼラチンハイドロゲルと有茎大網との併用により右胃大網動脈から梗塞領域への豊富は側副血行路を形成することを確認した。しかしながら、臨床応用への妥当性をさらに強化するには新生血管の長期安定性に関する研究が必要であった。そこで、本法による血管新生療法の長期成績の検討を行った。 平成18年度の研究では慢性心筋虚血モデルを作成した後、本法を行い、4週間後、12週後、24週後に心機能評価ならびに組織評価による血管密度および血管成熟性(全血管中のα-SMA陽性血管の割合)、血管径の分布などを評価した。また4週目以降の大網からの血管増殖因子の経時的推移(維持されているかどうか)をWestern blottingで評価し、また大網自身の脂肪細胞の経時的変化もあわせて評価した。 下記の論文で報告の通り、4週間後のcine-MRIにより、有意な局所心機能の改善を認め、colored micro-sphere法により有意な心筋血流量の増加を認めた。In vivo血管造影では胃大網動脈から閉塞冠動脈に側副血行路を認めた。分子生物学的検討により、大網からの複数の血管増殖因子(VEGF,HGF,PDGF-BB)の経時的協調作用が、良好な側副血行路作成に関与していることが示唆され、MCP-1およびeNOsの有意な発現増加を認めたことから心外血流源としての胃大網動脈からのshear stressによりArteriogenesisが促進されたことが示唆された。 以上の実験結果を臨床応用への足がかりとし、臨床試験の開始を待機している。
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