2005 Fiscal Year Annual Research Report
進行病期および再発胸腺腫に対するステロイド治療の意義と作用機序の解明
Project/Area Number |
17591470
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩野 裕之 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教授 (20346216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 明之進 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40252647)
南 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10240847)
井上 匡美 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10379232)
松田 暉 大阪大学, 名誉教授 (00028614)
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Keywords | 胸腺腫 / ステロイド / グルココルチコイド受容体 / 集学的治療 / 細胞死 |
Research Abstract |
胸腺腫は増殖が比較的緩徐な腫瘍であるが、臓器浸潤や播種を伴う進行病期のものや再発症例の予後は、満足すべきものとは言えない。このような予後不良胸腺腫に対する集学的治療のひとつとして、ステロイド治療という新たな方法の科学的根拠を明らかにするために、現在、以下の知見を得た。 1)胸腺腫に対するステロイド治療の効果に関する組織学的検討 重症筋無力症の治療のために術前にステロイド治療を行った胸腺腫3例(WHO病理分類type AB、B1、B2各1例)について、切除標本のパラフィン包埋ブロックから薄切切片を作製し、TUNEL法(TdT-mediated dUTP-biotin nick labeling method)により、apoptosisの有無をみたところ、腫瘍中のリンパ球にみならず、腫瘍上皮細胞にも、陽性細胞が認められた。3症例とも胸部CTなど画像所見上、ステロイド治療後に腫瘍の縮小を認めたことは、ステロイドが腫瘍中のリンパ球と腫瘍細胞に細胞死を誘導したことが関与すると考えられた。 2)胸腺腫におけるステロイド受容体(glucocorticoid receptor:以下GR)の発現に関する検討 ステロイドは、細胞内のGRと結合し、炎症、細胞増殖や分化を制御する。特にその標的分子のひとつであるNF-κBは、細胞死(glucocorticoid-induced apoptosis)の制御に重要な役割を持つ。よって1)で認められた細胞死がglucocorticoidによることを証明するために、腫瘍上皮細胞のGRの発現を評価した。すなわち手術切除標本から得られた切片に対して、抗cytokekeratin抗体および抗glucocorticoid受容体抗体を用いた免疫組織染色(ABC法)を行ったところ、組織型(WHO病理分類)にかかわらず、腫瘍中のリンパ球および腫瘍上皮細胞でのGRの発現が確認できた。
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