2005 Fiscal Year Annual Research Report
Heparanaseによる癌浸潤転移機構の解明とその制御法の確立
Project/Area Number |
17591471
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮田 義浩 広島大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 助手 (50397965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅原 利正 広島大学, 病院・教授 (70175850)
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Keywords | Heparanase / 肝臓癌 / 肺転移 |
Research Abstract |
1)ラット肝癌肺転移モデルの確立とその癌転移メカニズムの解析 ラット肝癌由来細胞株(Morris)を同系ラットの肝臓に移植することにより、1ヶ月後に肝細胞癌が肝内で増殖し、更に約4ヶ月後に高率に肺転移を発症するモデルを開発し、確立した。このモデルについて肝癌移植後1ヶ月で担癌肝臓を摘出し同種肝移植を施行しても、肺転移は成立した。しかしこの肺転移はRock inhibitor投与により完全に抑制された。このことにより本モデルでは癌細胞の原発巣からの離脱と基底膜を越えての血管内への浸潤は、肝癌移植後1ヶ月から既に始まっており、遠隔部位へのホーミング、増殖による転移巣の形成はRock inhibitorによって阻害できることを証明した。 2)In vivo on-off systemを組み込んだheparanaseベクターの作成と癌細胞への発現 ほ乳類細胞発現ベクター(pTracer CMV2)にヒトheparanase cDNAを組み込んだベクターを作成し、HeLa細胞株に遺伝子導入を行い、安定に発現する細胞株を樹立した。mRNAレベルで強いheparanaseの発現を認め、その細胞株培養上清中にheparanaseが産生されることを証明した。Heparanase活性は3H-HS sepharose beadsを用い、heparanaseで切断され放出されたHSのradioactivityを測定したが、その方法でheparanase遺伝子導入細胞株培養上清中に高い酵素活性を有することを示した。更にラット肝細胞癌株(Morris)についても同様にheparanase安定発現細胞株を樹立した。 次にほ乳類細胞発現ベクター(pTet-on&pTet-off)にラットheparanase cDNAを組み込んだベクターを作成した。まずHeLa細胞株に遺伝子導入し、安定に発現する細胞株を樹立した。培養細胞系でtetracycline存在下でのheparanaseの発現をreal-time PCR、ウェスタンブロットで確認した。更に培養上清中のheparanase活性を測定し、このシステムで機能的な酵素が産生されることを証明した。In vivoで本システムが機能するか否か、ラットを用いて検討中である。
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