2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化関連遺伝子Tarshの肺癌における癌抑性機構の解明と臨床診断への応用
Project/Area Number |
17591483
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西村 元宏 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00398372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 順一 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60315942)
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40311914)
丸山 光生 国立長寿医療センター, 研究所・老化機構研究部, 部長 (00212225)
上川 奈都子 国立長寿医療センター, 研究所・老化機構研究部, 研究員 (00399594)
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Keywords | TARSH遺伝子 / 肺癌 / 定量PCR / mRNA発現 / 細胞老化 |
Research Abstract |
TARSH(Target of NESH-SH3)は、E3B1/ArgBP/Avi2/NESH familyのNESHとSH3 domainを介して結合するとされて見出された遺伝子であるが、その生物学的機能はまだ明らかでない。我々は、マウスの正常肺において特異的に高発現を示し、かつマウス胎児由来線維芽細胞の細胞老化に伴ってTARSH mRNAの発現量が増加することを見出し、細胞老化関連遺伝子として注目している。細胞老化が癌抑制機構として生体内で機能している可能性を踏まえて我々は今回、「細胞老化と癌化」の関連に着目し、ヒト肺癌におけるTARSH遺伝子の発現状況を解析した。 Northern blot法によりヒト正常肺においてもTARSH mRNAが強く発現していることを確認した。ヒト肺癌細胞株15種類と手術で切除された原発性肺癌の臨床検体32例を対象として、個々の株細胞もしくは組織より抽出したRNAからcDNAを合成した。これよりreal-time reverse transcription PCR法にてTARSH mRNAの発現レベルを定量化した。肺癌細胞株の発現レベルは、正常肺polyA RNAから合成したcDNAの発現量との比で、肺癌手術検体においては個々の症例における非腫瘍部肺組織をコントロールとしてその発現比で定量数値化した。その結果、TARSH mRNAの発現レベルは我々の検索したヒト肺癌細胞株15種類および肺癌臨床検体32症例の全てにおいて、有意にかつ顕著に低下していたことを見出した。 TARSHが肺癌との間に強い関連があることが示唆されたこの知見は全く新しいものであり、学術雑誌に発表した。今後さらなる解析を進めていく予定である。
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