2005 Fiscal Year Annual Research Report
持続的硬膜外脊髄冷却システムによる脊髄保護効果の実験的検討
Project/Area Number |
17591487
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
志水 秀行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50226247)
|
Keywords | 硬膜外冷却 / 対麻痺 / 胸腹部大動脈瘤 / 虚血性脊髄障害 / continuous cord cooling system / 脊髄保護 / ischemic spinal cord injury / paraplegia |
Research Abstract |
持続的硬膜外腔脊髄冷却システムcontinuous cord cooling system (CCC)を独自に新開発した。その方法は、硬膜外腔にカテーテルを留置して(カテーテルは硬膜外腔とは全く交通孔をもたない)カテーテル内に冷却水を循環させ脊髄から熱を奪うことで局所冷却するものである。ブタモデルで脊髄虚血障害に対する保護効果について実験的に検討した。14頭の国産ブタをA群(n=7)、B群(n=7)に分け硬膜外腔にカテーテルを留置したのち、左鎖骨下動脈遠位で大動脈を30分間遮断した。A群では体外式循環装置を用いて冷却水をカテーテルの内腔で持続的に循環させ(40ml/min)脊髄を冷却した。B群では硬膜外腔にカテーテルを留置するだけで冷却水の循環はさせなかった。脊髄誘発電気(spinal cord somatosensory evoked potentials ; sSEP)を測定した。下肢の機能はmodified Tarlov sore (0:対麻痺、1:minimal motion, 2:stand with assist, 3:stand alone, 4:weakwalk, 5:normal)に従い評価した。大動脈遮断時、A群の脊髄温(31.7±0.6℃)はB群の脊髄温(37.8±0.4℃)より有意に低かった(p<0.0001)。sSEPの消失の開始は、大動脈遮断後A群で25.7±4.5分、B群で16.1±6.0分とA群で有意に長かった(p=0.0053)。sSEPの全消失時間はA群で7.4±3.8分、B群で19.7±7.3分とA群で有意に短かった(p=0.0002)。sSEPのは回復時間は大動脈遮断解除後、A群で3.2±1.7分、B群で5.8±2.2分とA群で有意に短かった(p=0.031)。A群のTarlov soreは4.7±0.5,B群は0.6±0.8とA群で有意に良好な回復が認められた(p=0.0017)。冷却水を硬膜外腔に直接注入しないCCCは、脊髄を冷却し虚血侵襲に対して保護効果を持つことが示唆された。胸腹部大動脈瘤手術後の対麻痺を回避する新しい手段として期待できる。
|
Research Products
(2 results)