2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内人工臓器感染、特にMRSA感染に対する新しい予防法および治療法の研究
Project/Area Number |
17591494
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
金田 幸三 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40340830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40281092)
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (60402856)
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Keywords | 人工血管感染 / MRSA / バンコマイシン / 局所徐放 / 生体適合性ポリマー |
Research Abstract |
抗生物質徐放ポリマーの作成 抗生物質徐放ポリマーのポリマー材料には生体適合性のあるL-lactic acidとε-caprolactone(50%L-lactic acid50%ε-caprolactone,分子量300000)を,抗生物質は塩酸バンコマイシンを使用した。ポリマー内にバンコマイシンを内包させてシート状に作成した。バンコマイシン量はMRSAに対するMIC値から算出し、5mgとした。また、徐放期間を2週間として作成した。 抗生物質徐放ポリマーの徐放実験(in vivo) ラットの後腹膜内に抗生物質徐放ポリマーを留置し、経時的にその残存量を測定し、徐放曲線を作成。また、周辺組織へのバンコマイシン濃度も経時的に測定したところ、バンコマイシン残存量は投与後1日目で53.1±12.5%,2日目で29.4±12.3%,4日目で16.7±8.0%,7日目で11.9±7.6%,14日目で6.3±4.5%と約2週間にわたり局所で徐放した。 MRSA人工血管感染モデルの作成ラットの腹部大動脈前面を切除した後、同部をGoreTex人工血管(1.0×1.5mm)のパッチをあて、人工血管置換モデルを作成。その後、同部にMRSAを散布し、人工血管感染を確立させる。 抗生物質徐放ポリマーによる人工血管感染の予防効果の検討 ラットにてMRSA人工血管感染モデル作成し、治療群は同部にバンコマイシン徐放ポリマーを留置した。一週間後、人工血管および動脈血の菌数を測定して抗菌力の評価を行ったところ、治療群は無治療群と比べ、人工血管内菌数および動脈血液内菌数の有意な減少を認めた。また、治療群と無治療群の生存率の検定を行ったところ、治療群では無治療群と比し、有意に生存率の改善を認めた。 以上の結果は昨年11月にシカゴで開催されたAHA(American Heart Association)にて口演演題として採択され発表した。
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