2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591497
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木内 博之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30241623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 卓 秋田大学, 医学部, 講師 (80241660)
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Keywords | 脳虚血 / mouse / アミノ酸 / グリシン / グルタミン酸 / NMDA / ドミナント / transgenic |
Research Abstract |
興奮性伝達物質であるグリシンは海馬や大脳皮質ではNMDA型グルタミン酸受容体に結合し、その活性調節因子として働いていると考えられている。このNMDAを介する神経興奮は、脳虚血における神経障害において重要な役割を有するものの、グリシンの役割については未だ解明されていない。そこで本研究においては、グリシン脱炭酸酵素遺伝子のドミナント・ネガティブ変異過剰発現マウス(高グリシン血症マウス)を用いて、局所脳虚血における細胞外グリシン濃度の推移と神経細胞障害に対するグリシン濃度の影響について検討した。 雄性高グリシン血症マウス(DN群)とC57BL/6マウス(C群)において、ハロセン麻酔下に左側線条体に微小透析プローブを定位的に刺入後、microdialysisを開始し、中大脳動脈(MCA)閉塞を負荷した。MCAをナイロン糸法により30分間閉塞し再開通させた。その際レーザードップラー血流計にてMCA領域の脳血流をモニターした。灌流液中のグルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)を電気化学検出器を用いて検出し定量した。血流再開後24時間において、TTC染色により梗塞巣の体積を、TUNEL染色にてapoptosisを発生を比較検討した。 脳血流は両群ともに虚血前に比し虚血後約10%に減少し、有意差を認めなかった。虚血前の細胞外Gly濃度はDN群がC群と比較して約40%高値を呈し、虚血中・再灌流後もDN群が高値を示した。細胞外Glu濃度は、虚血前後を通じて両群間で有意差はなかった。24時間後の梗塞巣の体積はDN群で有意に増大しており、虚血側皮質におけるTUNEL陽性細胞は、DN群においてC群より有意に増加していた。 以上より、脳内の高グリシン環境、特に虚血負荷後の細胞外グリシンの増加は、脳虚血によるNMDA受容体の活性化を促し、興奮性神経細胞障害を増大させることが明らかとなった。
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