2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復阻害に基づいた悪性グリオーマに対する新規放射線治療の確立
Project/Area Number |
17591517
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大西 丘倫 愛媛大学, 医学部, 教授 (70233210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 広信 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (20335897)
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Keywords | グリオーマ / 放射線治療 / Ku70 / DNA二本鎖切断 / DNA修復 / siRNA |
Research Abstract |
悪性グリオーマは放射線抵抗性の難治性脳腫瘍であり、その生命予後は極めて不良である。一方、ほ乳類細胞でのDNA二本鎖切断の修復にはKuを中心とした非相同末端結合が中心的な役割を演じていることが示されている。今回、ヒト悪性グリオーマ摘出組織におけるKu70の発現を調べるとともに、Ku70に対するRNA interferenceを用いてヒトグリオーマ細胞におけるKu70の発現抑制を行い、グリオーマ細胞の放射線感受性への効果を検討した。ヒトグリオーマ細胞としてU251,U87,T98Gの3種類の細胞株を用い、siRNAの細胞内導入にはHVJ-Eをベクターとして用いた。Ku70の発現はPCRおよびWestern blottingにより解析し、放射線感受性はclonogenic assayにて評価した。結果:(1)ヒト悪性グリオーマでは、大部分の症例でKu70の発現が強く見られた。(2)HVJ-Eをベクターとした遺伝子の細胞内導入はグリオーマ細胞のviabilityおよび増殖に影響を与えなかった。(3)Ku70に対するsiRNAの細胞内導入によりKu70のRNA、蛋白質はともに著明な発現抑制をきたした。(4)Ku70-siRNA導入細胞への放射線照射は対照に比べ、有意に放射線感受性が亢進した。以上より、グリオーマ細胞において、Ku70が放射線によるDNA二本鎖切断の修復に関与していること、また、グリオーマ細胞においてKu70の発現抑制は、放射線感受性を高め、より効果的な治療法として応用し得ることが示唆された。
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