2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクアポリン1発現を指標とした水頭症の成因についての検討
Project/Area Number |
17591524
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教授 (60238920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和雄 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90150341)
相原 徳孝 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00264739)
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Keywords | 水頭症 / アクアポリン / 病態生理 / カオリン / 正常圧水頭症 |
Research Abstract |
脳脊髄液の産生に関与するといわれるアクアポリン1(AQP1)の水頭症モデルにおける変化を調べ,病態との関連を検討した. Wister ratを用い20%カオリン懸濁液0.05mlを大槽内注入して水頭症を作成した.MRIを施行し,2,4,9週後に灌流固定した.AQp1mRNAの発現をin situ hybridizationで,蛋白の発現を免疫染色で調べ,sham controlと比較した.一部の動物で4週間後に脳室・皮下腔シャント術を施行し,9週間後にシャントの影響についても検討した. カオリン注入後,MRIでは時間経過とともに側脳室は拡大した,sham control群では,脈絡叢にAQP-1mRNAの発現を認めた.カオリン注入ラットでは2週間後に脈絡叢と脳底部にAQp-1mRNAの強い発現がみられ,4週と9週ではさらに増強した.シャント術後は同部でのAQP-1mRNAの発現は減少した.AQP-1蛋白の発現はカオリン注入2週間後に脈絡叢(apical membrane)および脳底部に認めた.その後9週間後まで発現はみられたが、明らかな増加は認めなかった.シャント術後、脈絡叢での発現は減少したが,脳底部での発現にはあまり変化がなかった.AQP-1mRNAの発現増強にもかかわらず蛋白の発現は増加しておらず,髄液産生増加による水頭症の悪化を避けるために,mRNAから蛋白への転写が抑制された可能性が示唆された.しかしその機序は依然不明である。 脳底部にみられたAQP1発現細胞の由来について、中枢神経系細胞,炎症細胞由来と仮定し種々の免疫染色を経時的に行った(CD68,Iba1,GFAP, oligo-2,シナプトフィジン,NSE).しかしいずれのマーカーにも有意な陽性所見を認めなかった.その他の細胞由来の可能性としてクモ膜細胞があるが,マーカーを含めて現時点では同定困難で,今後さらに検討が必要である.
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