2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己細胞由来の生理活性物質を利用した損傷脳に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
17591531
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
並木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20189195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 有未 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50338183)
船曵 知弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90317256)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 神経科学 / 生理活性 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
1 神経幹細胞の分化に対する炎症性サイトカインの影響 損傷脳で発現が増加するIL-6による神経幹細胞のアストロサイトへの分化誘導は、BMPとの相互作用の結果であることをin vitroで示し、上衣細胞由来のBMP antagonistであるNogginによりIL-6の作用が拮抗されることを示した。さらに、神経幹細胞からのneurogenesisの抑制が、IL-6を介さないBMP単独の作用として認められることを明らかにした。 2 血管内皮細胞が産生する液性因子の神経幹細胞活性化 骨髄由来の血管内皮前駆細胞から産生される生理活性物質が、成長因子の存在なしに単独で神経幹細胞の維持と自己複製を促進する作用を有していることをin vitroで明らかにした。神経幹細胞の数を反映するニューロスフェアー形成効率は、血管内皮細胞由来の液性因子を含む培地で、コントロールの成長因子添加増殖培地に比して有意に増加した。この作用は、骨髄間質細胞由来の液性因子含有培地と比べても明らかであった。 In vivoでは、マウスを用いてBudUの長期投与により神経幹細胞を標識するとともに、浸透圧ミニポンプにより血管内皮細胞由来の生理活性物質を脳室内に持続投与した。大脳半球側脳室周囲のBrdU陽性細胞数をカウントしてin vivoにおける生理活性物質の神経幹細胞に対する作用を検討した結果、コントロールのメディウム投与群に比べて、有意にBrdUで標識された神経幹細胞の増加が認められた。 今後は血管内皮細胞が産生する生理活性物質をwestern blotにて推定し、ELISAにて定量するとともに、血管内皮細胞が特異的に産生する蛋白質を2次元電気泳動、質量分析にて同定する予定である。
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