2005 Fiscal Year Annual Research Report
一次運動野および高次運動野の術中同定法と損傷後の機能回復に関する研究
Project/Area Number |
17591535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
深谷 親 日本大学, 医学部, 講師 (50287637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 秀規 日本大学, 医学部, 助手 (20328735)
山本 隆充 日本大学, 医学部, 教授 (50158284)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
小林 一太 日本大学, 医学部, 助手 (20366579)
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Keywords | 脳腫瘍 / 運動領野 / 機能野 / 脳外科手術 / マッピング / モニタリング |
Research Abstract |
緒言:これまでの研究より、脳腫瘍の治療においては、手術摘出率が患者の予後に重大な影響を及ぼすことが明かとなった。しかし、腫瘍が運動野などの機能野近傍に存在する場合、摘出範囲は著しく制約を受ける。このため、我々は様々なモニタリング法やマッピング法を考案し、機能を温存しつつ最大限の摘出を行うための工夫をしてきた。 対象と方法:運動領野近傍に腫瘍性病変を有し、術中運動領野マッピングあるいは運動機能モニタリングをおこなった自験201例をもとに、運動野近傍腫瘍の術中神経生理学的方法を用いた手術戦略の問題点を検討した。 結果および考察:喚起された問題点のうち、特に重要と考えられた点を以下に示す。(1)運動野同定のためのマッピング法としては、脊髄硬膜外から電位を導出する方法(corticospinal MEP)と誘発筋電図を観察する方法があるが、筋電図を観察する場合には高次運動野の刺激でも反応が誘発されるので注意が必要であった。(2)高次運動野の損傷後には、一次運動野の場合と異なり、永続的な運動機能障害は必ずしも出現しない。旺盛な機能回復がしばしばみられることを考慮し、手術戦略をたてることが最大限の摘出を実現するためには重要であった。(3)皮質下にて皮質脊髄路を同定するためのマッピング法として確立したものは今のところない。皮質下マッピングでは、反応が検出された部位から皮質脊髄路までの距離が明確に把握できる方法を確立することが今後の課題である。以上の点をふまえ、現状でのモニタリング・マッピング法の利点と限界をよく理解し、これらを活用することが望まれる。
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