2005 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素関連転写因子を介した下垂体腺腫の浸潤の機序に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
17591536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吉田 大蔵 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30210701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 明 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60231445)
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Keywords | 下垂体腺腫 / 低酸素 / リン酸化 / CREB / 細胞浸潤 |
Research Abstract |
本研究は下垂体腺腫の分子レベルでの浸潤機構の解明を目的とした。今回我々は血管内皮細胞では低酸素状態に陥ると転写因子cAMP response element binding protein(CREB)のリン酸化が促進されるという報告に着目した。ヒト下垂体腺腫細胞HP-75を低酸素状態(1%)で培養するとWestern blottingではCREB蛋白の発現には有意な変化はみられなかったものの、リン酸化CREBは低酸素状態で明らかに発現が増加していた。 下垂体腺腫55例の症例でCREBおよびリン酸化CREBに対するmonoclonal抗体を用いて蛍光免疫染色を行い検討した。いずれも両者とも腫瘍血管以外の腫瘍細胞に強く発現していたが、下垂体腺腫各subtype間に発現の有意差はなかったが、浸潤のgrade(Knosp grading)の高いものほど同時に腫瘍サイズの大きなものほどリン酸化CREBの発現のみは有意に上昇していた。同じ傾向が症例ごとのCREBリン酸化率にも認められた。従ってリン酸化CREBは低酸素マーカーと考えられ、浸潤傾向の強い腺腫ほど強く発現し、或いは腫瘍サイズに相関して発現していた。下垂体腺腫の腫瘍浸潤および腫瘍の増大の背景として組織酸素分圧の低下が存在することが明らかとなった。 しかしながら腫瘍浸潤に中心的な役割を果たすcell adhesion moleculeやmetalloprpteinaseまたは低酸素関連転写因子hypoxia inducible factorとCREBリン酸化とのsignaling pathwayとの関連はいまだ報告がなく次年度の研究テーマとして検討する予定である。
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