2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591538
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
青木 淳 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90319559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 敏彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30178115)
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70340560)
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Keywords | selective cerebral hypothermia / intra-arterial perfusion / angiographical catheter / therapeutic time window / rapid brain cooling / hemofiltration / brain tissue oxygen tension / regional cerebral cooling |
Research Abstract |
【目的】脳は虚血に対して極めて脆弱で、therapeutic time windowの短さが血行再建などの外科的治療を困難なものにしている。脳の低温は、虚血に対し劇的な作用を有するが、体重の大きなヒトに対しては全身の冷却に時間が掛かり、また全身の過冷却は破局的な副障害をもたらすため、有効な治療法になっていなかった。本研究の目的は、ヒトの局所脳虚血を想定し、迅速で選択的な脳の低温を可能にする経動脈的冷却リンゲル液灌流法の安全性、有効性を検証することである。 【方法】ビーグル犬(体重10.7±0.5kg)6匹を使用した。右頚動脈より脳血管撮影用の4Frカテーテルを挿入し、内頚動脈に導入、4℃に冷却したリンゲル液を1.5〜2.0ml/kg/minで動脈内投与した。右大腿静脈にダブルルーメンカテーテルを挿入し、透析回路と連結し投与したリンゲル液の等量を限外濾過にて除水した。両側頭蓋冠を穿頭し両側脳組織温、右脳組織酸素分圧を、Swan-Ganzカテーテルから心機能を経時的に測定した。90分の灌流後自然復温し、抜管後神経所見を観察し、10週後に屠殺し、組織学的に検討した。 【成績】23.3±7.7分で右脳温は目標温度である28℃に低下し、90〜129分間(平均106±13.7分)維持することができた。対側の脳温、中心静脈温、直腸温は34℃以下にはならなかった。冷却灌流中、体血圧、心拍数、心拍出量、脳組織酸素分圧は有意に低下したが軽度であった。麻酔覚醒後、神経学的異常所見は見られず、10週後の組織は虚血性変化を認めなかった。 【結論】動脈内冷却水注入法は、急速に目的とする領域の選択的な冷却が長時間可能であり、外傷や虚血などの急性脳障害や難治性痙攣の治療手段として有望である。特に急性脳虚血の線溶療法の際に、虚血脳を急速に冷却することにより、血行再建の治療許容時間が著明に延長すると考えられる。
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