2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する音響化学療法に関する臨床応用にむけた基礎的研究
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17591540
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
福島 武雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10078735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 将 福岡大学, 医学部, 助手 (30352256)
継 仁 福岡大学, 医学部, 講師 (80279273)
小松 文成 福岡大学, 医学部, 助手 (70412591)
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Keywords | 音響化学療法 / 集束型超音波 / ヒトグリオーマ細胞 / ヌードラット / 実験脳腫瘍 / U87細胞 / ローズベンガル |
Research Abstract |
これまで我々は音響化学療法による実験脳腫瘍治療として、in vivoにてWister ratにRat C6 gliomaを移植し、集束型超音波を用いて抗腫瘍効果を確認した。また、in vitroにおいてはC6 glioma及びヒトglioma細胞株であるU251、U105、細胞に対し、平行超音波を用いて有効性を検討し、細胞株の種類により音響化学療法の感受性が異なることを明らかにするため、ヌードラット脳内にU251、U105細胞を移植し脳腫瘍モデルを作成し検討した。ヌードラットU87脳腫瘍モデルでは、脳膿瘍もしくは感染徴候が脳内に見られ、純粋な抗腫瘍効果を判定できない状況であった。今回の実験は、ヒトクリオーマ細胞株U87を雄性ヌードラット脳内に移植し、1週間後に定位的に超音波照射を行った。音響化学活性物質としてキサンテンであるローズベンガルを用いた。照射強度、時間は25W/cm^2、5分間とした。1週間飼育した。前回報告において超音波照射後、局所感染が多くみられ、抗腫瘍効果について判定が困難であったが今回は、超音波照射モデルを作成できた。しかしながら腫瘍最大径を測定すると対照群平均38mmに対し超音波照射群40mmと治療効果を示唆する所見はみられなかった。今回の結果として有意な治療効果を得ることはできなかった。この理由として音響化学活性物質のローズベンガルのヒト脳腫瘍組織への集積性の違いにより生じた結果であると推測している。近年悪性脳腫瘍に対し、特異的に集積する新たな物質としてヘムの前駆体でありプロトポルフィリンIXにより代謝される5aminolevulinic acid(ALA)や、報告は少ないものの同様にタラポルフィリンナトリウムもその腫瘍組織親和性の高さから新たな音響化学活性物質となり得ると考えられる。今後はこのような音響化学活性物質を再検討し実験を継続する予定である。
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