2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性ポリマーゲルを用いた腱癒着防止に関する基礎的検討
Project/Area Number |
17591548
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂呂 徹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 科学技術振興特任教員 (20302698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40179461)
石山 典幸 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (60376481)
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Keywords | 手術 / 腱損傷 / 癒着防止材 / バイオマテリアル / 生体適合性 / ハイドロポリマーゲル / 高分子材料 |
Research Abstract |
外傷や手術後に発生する腱の癒着は関節の運動障害をきたす原因となり、社会復帰や日常生活の大きな妨げとなる。特に手指の腱損傷の場合、腱癒着のため手術後3週間の固定が必要となり、腱の癒着は必発である。手指は関節の微細な運動を必要とするため、癒着は深刻な合併症であり、関節機能の回復に多大な労力と時間を要することになる。我々は、周囲組織からの液性因子の供給による修復を妨げずに縫合部を被覆できれば癒着を防止できると考えた。この目的で、生体細胞膜類似構造を有し、優れた生体適合性と潤滑特性を発揮する高分子材料・2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)を用いた癒着防止材を創案した。これは、MPCポリマーにカルボキシル基あるいは三級アミノ基をブロック的に配列させたもので、これらを混合すると直ちにゲル化して粘性が高まり、腱表面に接着させることができる。したがって術野に応じて瞬時に成型でき、かつ持続して効果を発揮できる。また、MPCポリマーは、液性因子の透過を妨げないこと、表面にタンパク質の吸着が起きないため癒着する可能性が少ないこと、異物としての認識を受けず生体の異物反応を惹起しないこと、潤滑性に優れること、が判明している。 本研究の目的は、MPCポリマーゲルによる腱縫合部の被覆を、腱癒着の防止技術として臨床応用するために必要な基礎的検討を完了させることであり、本年度は下記の検討を行った。 1)高い固相化を達成するMPCポリマーゲル合成の至適条件の決定 手術部位という湿潤環境下で高い固相化を達成するMPCポリマーゲルの構造を確立するため、分子組成、分子量とその分布、疎水性ユニットの構造などをパラメーターとして様々なゲルを作製し、疑似体液、ラットのモデルを用いて検討した。この検討で確立したMPCポリマーゲルを以下に用いた。 2)MPCポリマーゲル被覆による腱縫合部の癒合に対する効果の検討 家兎の腱損傷モデルを用いた。顕微鏡視下に縫合しMPCポリマーゲルで被覆した腱を3・6週後に摘出し、肉眼所見、組織所見、力学的所見にてMPCポリマーゲルが腱の癒合を妨げないことを確認した。 3)MPCポリマーゲル被覆による腱縫合部の癒着防止に対する効果の検討 平成18年度の検討に用いるため、家兎の腱癒着モデルを確立した。
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Research Products
(2 results)