2008 Fiscal Year Annual Research Report
RNAi法を利用した変性促進遺伝子を抑制する椎間板細胞移植治療法の開発
Project/Area Number |
17591556
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川口 善治 University of Toyama, 大学病院, 講師 (00262527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 龍介 富山大学, 大学病院, 助教 (40293310)
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Keywords | 腰椎椎間板ヘルニア / 椎間板内治療 / si RNA / adamts-4, 5 |
Research Abstract |
椎間板変性抑制が腰痛対策として有効な手段になりうると考え、実験を行った。椎間板が有するshock absorberとしての働きには高い含水性を持つアグリカンを中心とした、プロテオグリカンが大きな役割を果たしている。アグリカンは特定の部位でMatrix MetalloproteinaseやADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin-like repeat)ファミリーに属するいくつかのメタロプロテアーゼにより切断される。以上より、変性椎間板に発現しているadamts5遺伝子をsiRNA(small interfering RNA)を用いてknock downすることにより、椎間板変性を抑制させることを試みた。研究の方法として、in vitroとin vivo研究を行った。in vitro研究は家兎髄核細胞を用いて、adamts5遺伝子をknock downするために、siRNAを作成し、単層培養の髄核細胞にトランスフェクションし、real-time PCR法を用いてadamts5遺伝子のknock down率を検討した。その結果、アルジネートビーズ培養下で、adamts5 siRNAが取り込まれることが分かった。adamts5のknock downが可能であるかを検討したところ、コントロールsiRNAに比べてadamts5 siRNAは約70%のknock down率を示した。in vivo研究では、家兎椎間板変性モデル(puncture model)として、椎間板を18G針にて穿刺して椎間板変性を惹起し、無穿刺対照群と比較検討した。adamts5 siRNA投与群とcontrol siRNA群を作成し、2週間毎に単純X線像で椎間板高を測定した。注入後8週間経過観察し、屠殺後MRIおよび組織学的検討を行った。MRIはT2像の輝度を4段階に分類しスコア化することにより評価した。組織は、椎間板組織の正中矢状断面をサフラニン-0、およびヘマトキシリンにて染色し、組織評価スコアによって評価した。結果は、椎間板高には変化を認めなかったものの、adamts5 siRNAを投与した群では髄核部の輝度が、コントロールsiRNAよりも有意に高く、高い水分含量を反映していた。組織学的なスコアでもadamts5 siRNA投与群で有意な変性の抑制が認められた。以上より、椎間板髄核変性において、adamts5は主要な役割を果たしていると考えられ、adamts5 siRNAを用いることにより椎間板変性を抑制し、腰痛を予防できる可能性があることがわかった。
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[Presentation] 腰椎椎間板ヘルニアの感受性遺伝子-発症のメカニズム-2008
Author(s)
三尾太, 千葉一裕, 廣瀬裕一郎, 川口善治, 三上靖夫, 関庄二, 森正樹, 高畑武士, 小柳貴裕, 鎌田修博, 福井康之, 河野亨, 河野仁, 河野克己, 石川雅之, 田村睦弘, 久保俊一, 木村友厚, 松本守雄, 戸山芳昭, 池川志郎
Organizer
第37回日本脊椎脊髄病学会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20080424-26