2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症性サイトカインの遺伝子療法による関節リウマチの関節破壊抑制の試み
Project/Area Number |
17591557
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉山 英二 富山大学, 医学部, 助教授 (70179167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 裕幸 富山大学, 医学部, 助教授 (60186210)
村口 篤 富山大学, 医学部, 教授 (20174287)
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Keywords | インターロイキン4 / 遺伝子療法 / アデノ随伴ウイルス / 破骨細胞 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
(背景、目的)破骨細胞は骨を吸収する唯一の細胞であり、骨粗鬆症や関節リウマチの骨破壊に深く関与している。特に関節リウマチでは関節破壊により患者のQOLが大きく損なわれるため、その進展予防が急務の課題である。我々は今回の研究において、破骨細胞の分化誘導を強力に抑制しうるインターロイキン4(IL-4)に着目して、その遺伝子療法の基礎的研究を行った。まず、毒性が少なく、遺伝子の安定した発現を誘導できるアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-helper-Free system, Stratagene)にヒトIL-4遺伝子を組み込み、ヒト末梢血単球に対する感染効率とIL-4の発現とその効果について検討した。 (結果)まず、アデノ随伴ウイルス(AAV)の末梢血単核細胞に対する感染効率を検討すると、T、Bリンパ球などの浮遊細胞に対する感染率は低く、デッシュ付着単球、マクロファージに高率に感染を認めた。また、IL-4遺伝子を組み込んだAAV(IL-4-AAV)を単球に感染させるとIL-4の発現が誘導され、上清中に多量のIL-4を認めた。そこで、AAV-IL-4の感染により、単球から破骨細胞への分化を抑制しうるか否かについて検討した。破骨細胞誘導因子であるRANKLとM-CSF存在下でヒト末梢血単球を培養すると5-10日後に象牙切片を吸収しうる破骨細胞が誘導された。AAV-IL-4を感染させるとRANKL/M-CSFによる破骨細胞の誘導が強力に抑制された。次に炎症性骨破壊に重要であるTNFαによる破骨細胞誘導に対する効果を検討すると、同様にAAV-IL-4により強力に抑制された。 (結語)この結果は、関節リウマチの関節破壊の治療法としてIL-4の遺伝子療法が有用であることを示している。(第50回日本リウマチ学会に発表予定)
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