2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨移植治癒において間葉系幹細胞に働くSDF-1の役割の解析と治療への応用
Project/Area Number |
17591564
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 宣 京都大学, 医学研究科, 助手 (70397537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
田代 啓 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10263097)
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Keywords | 移植、再生治療 / 間葉系幹細胞 / 骨移植 / 骨形成 / SDF-1 |
Research Abstract |
1)この実験の目的は、骨移植治癒において間葉系幹細胞におけるケモカインSDF-1とその受容体CXCR4の働きを明らかにすることである。 2)ラットの骨髄細胞から採取したmesenchymal stromal cellを単層培養し、これをTranswellのupper chamberに撒き、lower chamberにrecombinant SDF-1を加えてmigration assayを行ったところ、SDF-1の濃度依存性にmesenchymal stromal cellのmigrationが誘導された。またCXCR4のantagonistであるTN14003を加えたところ、TN14003の濃度依存性にmigrationが阻害された。 3)C57BL6マウスの大腿骨骨幹部から長さ4mmの骨を切り取り、それを同部位に移植して髄内釘固定する長幹骨自家骨移植モデルを作成した。手術後時間経過とともに組織からmRNAを抽出し定量的PCRでSDF-1の遺伝子発現を調べたところ、時間依存性に発現の上昇が認められた。またSDF-1に対する抗体を用いた免疫染色では、自家骨移植モデルで、自家骨の骨膜にSDF-1の蛋白発現を認めた。 4)上記長幹骨自家骨移植モデルマウスの腹腔内に抗SDF-1中和抗体を手術後隔日で投与し、術後14日目に屠殺して組織学的検索を行った。コントロールIgGを投与した群と比べその骨形成は有意に減少した。 5)上記長幹骨他家骨移植モデルマウスで、他家骨の周囲にSDF-1の蛋白、ないしSDF-1を発現するadenovirusを投与したが、コントロールと比べて有意な骨形成は認めなかった。 6)以上のことからSDF-1は単独では骨形成を促進することはできないが、骨移植部周囲の間葉系幹細胞の遊走を誘導し、骨形成に重要な働きを果たしている可能性が示唆された。
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