2006 Fiscal Year Annual Research Report
Acid-sensing受容体抑制によるがん骨転移痛の制御
Project/Area Number |
17591569
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
若林 弘樹 三重大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50362687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 俊之 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80142313)
内田 淳正 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40176681)
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Keywords | 骨転移 / アシドーシス / TRPV1 |
Research Abstract |
癌骨転移性疼痛(骨痛)のメカニズムは癌浸潤による骨破壊という物理的刺激を知覚神経が認識し、痛みとして認識されると考えられている。がん骨転移では、破骨細胞が酸を分泌して骨を破壊すること、腫瘍自身が酸性環境を作り出すこと、酸が発痛物質の一つであることから、我々は骨痛のメカニズムの一因として酸、及び酸感受性受容体が関与していると仮定し、酸感受性受容体の一つであるカプサイシンの受容体(TRPV1)に着目した。 昨年度TRPV1遺伝子欠損マウスを用いた検討により、in vivoにおいて行動解析、免疫組織学的検討からTRPV1を抑制することで骨痛が軽減することを見出した。平成18年度は昨年度得られた動物モデルの結果に基づき、in vitroでの酸、TRPV1とリン酸化ERKの関係について研究した。 DRG器官培養によるin vitro発痛モデルを確立した。神経細胞様培養細胞よりもin vivoでのメカニズムをより反映するモデルを作成するためにこのモデルを確立した。器官培養したDRGに酸刺激を加えると免疫沈降法によりTRPV1タンパクの発現は上昇した。また、野生型マウスの器官培養DRGでは酸刺激でリン酸化ERKタンパクの発現は上昇し、TRPV1選択的阻害剤により、その発現上昇は抑制された。TRPV1遺伝子欠損マウスの器官培養DRGでは酸刺激やTRPV1選択的阻害剤によるリン酸化ERKの発現に影響はみられなかった。 以上の結果より、酸刺激によりTRPV1を介してリン酸化ERKが発現し、痔痛を反映することと、酸刺激によりTRPV1タンパクの発現は上昇することをin vitroで証明し、酸および酸感受性侵害受容体TRPV1が骨痛に関与していることをin vitroでも証明した。
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