2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する磁気ターゲティング法を用いた神経幹細胞投与
Project/Area Number |
17591574
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 信弘 広島大学, 病院, 助手 (20363062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 光夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70177244)
安永 裕司 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 客員教授 (40253075)
石田 治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00243551)
望月 由 広島大学, 病院・講師 (10284192)
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Keywords | 神経幹細胞 / 磁気ビーズ / Cell delivery system / 脊髄損傷 / 軸索再生 / 磁気ターゲティング |
Research Abstract |
本年度は神経幹細胞-磁気ビーズ複合体の作製に成功し,この複合体の性質について以下のとおり検討・実施した. (1)神経幹細胞はNeurosphere法に基づきGFP陽性ラットの胎仔海馬組織を用いて培養し,ペプチド付与磁気ビーズを神経幹細胞に作用させると神経幹細胞は磁気ビーズと複合体を形成することを,光学顕微鏡,電子顕微鏡で確認した.磁気ビーズは細胞内に取り込まれず,神経幹細胞の表面に存在していた。神経幹細胞は複合体を形成しても,そのほとんどすべての細胞が未分化神経系細胞のマーカーであるnestinに陽性であった. (2)神経幹細胞-磁気ビーズ複合体(以下複合体群)を磁気ビーズ付着後5日間培養し血球計算板にて計測した.実験の対照群として磁気ビーズを反応させない神経幹細胞のみの群(以下非複合体群)と比較した.複合体群の細胞数は,0,1,3,5日目いずれにおいても非複合体群と有意差を認めなかった. (3)神経幹細胞-磁気ビーズ複合体をbFGF非存在下で10日間培養し,MAP2,GFAP,Gal-C陽性細胞への分化を確認した.複合体もそれぞれMAP2,GFAP,Gal-C陽性細胞へと分化し,その分化率は非複合体群と同様であった. (4)複合体の外磁場による誘導能を検討した.Plate中央部底面に磁石を設置し複合体群と非複合体群を同数播種すると,複合体群は磁石設置部に集積して周辺部の各領域よりも,また非複合体群を播種した磁石設置部よりも有意に多く存在していた. よって本年度の研究結果から神経幹細胞-磁気ビーズ複合体は,神経系の未分化な細胞特性を保ち,非複合体群と同等の生存率と各種神経系細胞への分化能を保持しながら,外磁場への誘導能を獲得していることがin vitroで確認された. これらのデータの結果を踏まえ,来年度はこの神経幹細胞-磁気ビーズ複合体を外磁場で集積させることで脊髄再生に与える影響を,in vitro,in vivo modelでさらなる検討を進めていきたい.
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Research Products
(1 results)