2006 Fiscal Year Annual Research Report
超音波刺激とヒアルロン酸を駆使した軟骨再生に関する研究
Project/Area Number |
17591586
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
竹内 良平 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (30236442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 信 横浜市立大学, 工学研究院, 教授 (80166404)
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60050689)
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Keywords | 軟骨 / 低出力超音波 / コラーゲンIX / 細胞分裂 / 3次元培養 |
Research Abstract |
本研究にて以下の事実を申請者らが初めて発見した。 (1)低出力超音波刺激(LIPUS)は軟骨細胞数を増やす働きがある 周波数1.5MHz、エネルギー30mW/cm^2のLIPUSが軟骨細胞数を増やす働きがあることを発見した。過去の報告ではLIPUSは培養軟骨細胞の増殖には関与しないということが定説となっていたが、我々の研究結果はこれを覆すものである。その理由の一つは、我々が考案作成した3次元培養軟骨組織が実際の関節軟骨組織に近いことが考えられる。 (2)LIPUSは軟骨細胞分裂を促進させる LIPUSを加えて培養した軟骨細胞ではcyclin B1、D1(細胞分裂期に現れるタンパク)活性が強発現し、細胞分裂が盛んになっていることを証明した。軟骨欠損や変形性関節症などにより消失した軟骨はそのままでは再生しないとされている。消失した軟骨を再生するためには残存している軟骨を活性化させると同時に軟骨細胞数も増やさなければならない。 (3)LIPUSはcollagen type IX産生を亢進させる。 LIPUSが軟骨細胞に及ぼす影響について軟骨細胞内に存在する500のタンパク質についてアレー解析を行った。その結果、LIPUS照射後6時間においてcollagen type IX、 MMP10などが特異的に増加していることをつきとめた。そこで軟骨細胞の分裂、増殖を促進するシグナル伝達経路の特定を行った。その結果、mechanoreceptorを介しての一般的な細胞増殖に関与するlntegrin/MAPKが活性化されていることがわかった。さらに解析を進めた結果、PI(3)K/Aktの経路が同時に活性化していることをつきとめた。collagen type IX(産生亢進の上流にはPI(3)K/Akt/NF-kBの経路があることが予測されるのでこれを特定することが今後必要である。 collagen type IXの役割は軟骨基質の大半を占めるcollagen type IIの線維同士を接着させ、軟骨基質の合成を促し、さらに軟骨細胞をその周囲の基質と強く接着させることで強い軟骨組織を形成することである。最近の研究で、軟骨組織の成熟にはcollagen type IXの役割が不可欠であることが判明した。
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