2005 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療技術を応用した殺細胞処理骨の再活性化に関する実験的研究
Project/Area Number |
17591591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30316070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大串 始 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門・組織・再生工学研究グループ, グループ長 (80213669)
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Keywords | 再生医療 / 骨腫瘍 / 間葉系幹細胞 / 処理骨 / 骨格再建 |
Research Abstract |
放射線処理骨をscaffoldとしたラット骨髄間葉系幹細胞搭載処理骨の骨形成能の評価を行った。まずFischer344ラットの骨髄細胞を培養し、1x10^7/mlの濃度の間葉系細胞含有液を準備した。次に、自家骨そのものをscaffoldにするという自家処理骨モデルを作成した。処理骨は、同系ラット腸骨より約2×3×4mmの骨片を採取し、臨床における骨腫瘍治療を想定した60Gyの一括照射を行うことで作成した。培養細胞搭載処理骨は処理骨に培養細胞含有液を浸透させることで作成した。比較対象群は、培養細胞搭載処理骨群、殺細胞処理のみを行った細胞非搭載処理骨群、摘出した骨片をそのまま用いた未処理骨の3群とした。各群の骨片を同系ラット皮下に移植し、移植4週後に摘出し、生化学的検討としてアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した。また、組織学的検討も行った。結果、移植4週後のALP活性は、細胞搭載処理骨群、未処理骨群の両群は細胞非搭載処理骨群と比較して有意に高値を示した。移植4週後の組織像は、細胞非搭載処理骨群では壊死骨に陥っている一方、細胞搭載処理骨群でも壊死骨に到るも、壊死骨に接するように骨芽細胞の配列を認め、移植8週後には、新生骨形成、顕著な骨改変傾向が認められた。未処理骨群でも、壊死骨に陥る傾向とともに、骨芽細胞の配列が一部に認められた。分化した骨芽細胞は骨基質蛋白を合成し、ALP活性を示す基質小胞を放出する。また、骨芽細胞が合成する骨基質蛋白の種類は、細胞分化段階に依存し成熟骨芽細胞はオステオカルシンを産生するようになる。今回、生化学的評価としてALP活性を測定したが、次年度はオステオカルシンをはじめとする骨形成関連遺伝子を測定する予定である。また、骨形成に携わる骨芽細胞が培養により得られた骨髄間葉系細胞由来であることの証明、導入された細胞がレシピエントで機能しうる期間についても検討する予定である。
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