2006 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療技術を応用した殺細胞処理骨の再活性化に関する実験的研究
Project/Area Number |
17591591
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30316070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大串 始 産業技術総合研究所, 研究グループ長 (80213669)
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Keywords | 再生医療 / 骨腫瘍 / 間葉系幹細胞 / 処理骨 / 骨格再建 |
Research Abstract |
悪性骨腫瘍の外科的治療では、一度摘出した骨を殺細胞処理して再建に用いるという方法が用いられることがある。しかし、用いられる骨は殺細胞処理により生物活性の非常に低い状態に陥っており、感染に弱く、骨形成も極めて悪い。そこで再生医療技術を用いて、殺細胞処理骨に骨形成能を付与する研究をFischer 344 ratによる動物実験モデルを用いて継続している。これまでに培養骨髄由来間葉系細胞を搭載させることで骨形成能を失った殺細胞処理骨に骨形成能を付加できることをアルカリフォスファターゼ(ALP)活性測定、組織学的検討により証明した。今回、更に生化学的評価として成熟骨芽細胞が合成する骨基質蛋白オステオカルシンの骨形成関連遺伝子の測定を行った。その結果、殺細胞処理骨は処理後生体内で2、4週経過してもオステオカルシンmRNAは検出されなかったが、培養骨髄由来間葉系細胞を搭載させた処理骨は生体内で2、4週経過すると、有意にmRNAが検出され、mRNA量は経時間的増加していく傾向が認められた。 また、骨形成に関与する骨芽細胞が培養により得られた骨髄由来間葉系細胞であることの証明も試みた。証明にはdonor cellに♂、殺細胞処理骨には♀、そしてrecipientには♀を用い、生体内で4週間経過した後に摘出された標本からみレーザーマイクロダイセクション(LMD)にて新生骨組織のみ採取し、新生骨の骨細胞DNAを抽出して性染色体関連primerを用いて新生骨の由来を分子生物学的に検出するという既に確立された実験手法を用いた。その結果、培養細胞搭載処理骨で形成された新生骨からはdonor cellの由来を示す♂遺伝子のバンドを認め、少なくとも移植後4週の時点では培養骨髄由来間葉系細胞が新生骨の形成に携わっていることが確認された。現在、培養骨髄由来間葉系細胞のrecipientで担う骨形成能の経時間的変化を更に解析している。 さらに、欧米で一般的に臨床応用されている保存骨移植を想定して、生物活性の失われた同種骨をscaffoldとして同様の研究を行っている。
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