2006 Fiscal Year Annual Research Report
高密度骨髄間葉系細胞および骨形成因子を用いた移植方法の開発による関節軟骨の再生
Project/Area Number |
17591599
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高井 信朗 帝京大学, 医学部, 教授 (10226730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 欣忍 帝京大学, 医学部, 講師 (00295651)
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Keywords | 関節軟骨 / 骨軟骨全層欠損 / 組織再生 / 石灰化前線 / 間葉系細胞 / 自家細胞移植 |
Research Abstract |
関節軟骨欠損修復に,自家細胞移植を用いた研究が多く成されているが,いまだ正常硝子軟骨構造の再生は達成されていない.これまでに研究代表者らは,transgenic ratとDNA in situ hybridizationを用いて,自家移植後骨髄間葉系細胞を宿主細胞から識別する方法を確立した.その結果,移植24週後,浅層部が硝子軟骨様組織,深層部が軟骨下骨により修復され,骨髄間葉系細胞が骨,軟骨両層の修復に関与することを48^<th>,49^<th> Orthopaedic Research Society(ORS),USAおよび第17回,第18回日本整形外科学会基礎学術集会で報告した.しかし,自家骨髄細胞移植においても,軟骨石灰化前線を含む軟骨層の再生は困難であり、サイトカインなどを用いた組織工学を駆使することが必要である.骨形成タンパク質(BMP)は骨髄間葉系幹細胞の分化および骨化に関与することが報告されている。したがってBMPと発光クラゲ由来緑色蛍光蛋白質遺伝子(GFP)とともに導入したtransgenic ratを開発し、骨軟骨欠損に移植したtransgenic rat骨髄細胞のGFPシグナルを追跡することによりBMPが関節軟骨修復過程の石灰化に果たす機能をin vivoで解明することが可能であると考えた. 一方、hanging drop culture法により高密度骨髄間葉系細胞を作成し移植する方法を開発し、軟骨下骨におよぶラット関節軟骨欠損の再生へ応用した。また、新たに開発した遺伝子導入ラットを用いた自家移植モデルを用いることで、移植細胞のin vivoでの追跡を行った。その結果、高密度骨髄間葉系細胞移植は移植後長期に渡る移植細胞の修復部での生存を可能とするとともに骨および軟骨組織を形成することが解明され、有用な関節軟骨再生手段となりうることが明らかとなった。次に高密度骨髄細胞移植法をラット自家移植モデルの骨軟骨欠損に行い、その再生過程における移植、宿主細胞と移植後粘弾性試験装置による力学試験を行うことにより再生軟骨特性を組織学的検討だけでなく力学的試験を行うことにより本移植方法の有用性を生物学的かつ生体工学的視点から評価した。その結果、移植軟骨の粘弾性特性は正常周囲関節軟骨とは全く異なった特性を示し、それは長期移植群に置いても回復を示さず、この移植方法の限界を示すものであった。hanging drop culture法により高密度骨髄間葉系細胞移植は移植細胞の数を多く維持する方法としては良い方法であるが、正常関節軟骨の力学特性を再獲得することはできなかった。
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