2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックタンパク質・シャペロンによる新しい関節リウマチ(RA)治療法の開発
Project/Area Number |
17591601
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
吉田 薫 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 助手 (70398973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 博明 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 教授 (00219461)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / シャペロン / 関節リウマチ |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト小胞体シャペロン(BiP)による慢性関節リウマチ(RA)患者の関節炎抑制効果を検討することにある。本年度は、BiPのRA滑膜細胞増殖能に対する抑制効果を観察した。SCID-HuRAgマウスの作成は、既報に従い行った。RA患者滑膜組織は摘出後氷冷して研究室へ運び速やかにSCIDマウス背部へ移植した。RA患者滑膜組織を移植4週間経過後、BiPを静脈注射により投与した。12日後、摘出した移植組織の重量を測定し、移植前と比較した結果、BiP投与群では対照のHSA投与群に比べて有意にその重量が減少した。摘出したヒトRA滑膜組織は4%パラフォルムアルデヒドにより固定し、パラフィン切片または凍結切片を作成した。パラフィン切片標本はHE染色後、病理評価を行った。評価にはKoizumiらの方法と、Roonyらの方法を用いた。いずれの方法においても組織の炎症の程度はBiP投与群で有意に低かった。摘出した移植組織の一部はウェスタンブロッティング又はRT-PCRによる各種サイトカインの検出用に凍結保存した。また、BiPはin vitroでヒト末梢血中の単球からの抗炎症性サイトカインであるIL-10の大量分泌を引き起こすことが明らかになっているので、移植組織摘出時にSCID-HuRAgマウスより採血し、血清中のヒト型IL-10,IL-6,IL-4をELISA法により測定した。その結果、BiP投与群で有意にIL-10の分泌量増加は見られなかったが、IL-4についてはHSA投与群に比べてその分泌を抑制する傾向が見られた。以上の結果より、BiPはRA滑膜細胞増殖能に対する抑制効果を示し、その作用機序としてRA滑膜組織中のT細胞によるIL-10の分泌を介したものであることが予想されていたが、SCID-HuRAgマウスの血中では変化を検出できなかった。これはIL-10の分泌がごく微量であり移植組織内へとどまるためと考えられる。今後はIL-10R抗体の同時投与によりBiPの効果が抑制されるかどうかを検討する予定である。(公表を見合わせる必要有り)
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