2006 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症が変形性膝関節症の進行に与える影響について
Project/Area Number |
17591602
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
赤木 将男 近畿大学, 医学部, 助教授 (00273441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝田 滋貴 近畿大学, 医学部, 講師 (00330283)
森 成志 近畿大学, 医学部, 助手 (80351584)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 軟骨変性 / 実験的変形性関節症 / 高脂血症 / 酸化LDL / LOX-1 |
Research Abstract |
高脂血症自然発症(KHC)ウサギを用いて、高脂血症負荷が変形性膝関節症・軟骨変性の進行に与える影響を検討することを目的に実験的膝関節症(前十字靭帯切離・内側半月切除手術モデル)を作成し、組織学的な検討を行った.コントロールの日本白色ウサギ(JW)との比較においてKHCウサギでは軟骨細胞の脱落・軟骨組織の菲薄化が目立ち、軟骨細胞の機械的ストレスに対する細胞反応の低下・修復能力の低下がスコアの低下の主因であることが示唆された.ラット培養軟骨細胞において酸化LDLとLOX-1の結合がAktのリン酸化を阻害し、細胞活性の低下、非アポトーシス性細胞死をもたらすことが知られている.そこで、LOX-1に対する抗体および酸化ボスファチヂルコリンに対するモノクローナル抗体を用いて、それぞれLOX-1およびの酸化LDL免疫染色を行った.LOX-1の免疫染色では、手術側のJWの染色性は軟骨の全層に認められるも、KHCでは細胞が脱落しているため、軟骨の深層を中心に染色性が認められる。Sham側はJW・KHC共に、軟骨組織移行層から深層にかけて染色性が認められた。酸化LDL免疫染色では、手術側ではJWとKHCともにLOX-1染色とほぼ同部位での染色性が認められた。Sham側のKHCでは、LOX-1とほぼ同部位での染色性を認めるが、JWではほとんど染色性を認めなかった.さらに、軟骨細胞における主要な増殖因子の一つであるbFGFの免疫染色を行った.JWの手術側ではほぼ全層にわたって軟骨細胞に強い染色性が認められた。JWのSham側でも放射状層を中心に染色性が認められた。KHCの手術側でも放射状層を中心に染色性が認められるが、JWに比較して陽性細胞数は少なかった。KHCのSham側では殆どbFGF染色性が認められなかった。以上より、KHCウサギにおける軟骨細胞の機械的ストレスに対する細胞反応の低下・修復能力の低下には、bFGFの産生低下の関与が示唆された.現在、ウサギ軟骨を培養系に移し、酸化LDLとLOX-1の結合が軟骨細胞の活性に与える影響、bFGFの産生能に与える影響について検討している.
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