2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム・プロテオーム解析による骨軟部肉腫化学療法感受性決定因子の研究
Project/Area Number |
17591604
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
川井 章 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 研究員 (90252965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 格 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), プロテオーム・バイオインフォマティクス・プロジェクト, プロジェクトリーダー (30284061)
市川 仁 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 腫瘍発現解析プロジェクト, プロジェクトリーダー (30201924)
長谷川 匡 札幌医科大学, 医学部病理診断学, 教授 (40281167)
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Keywords | 悪性骨軟部腫瘍 / 網羅的遺伝子発現解析 / 網羅的タンパク質発現解析 / 蛍光2次元電気泳動 / 悪性線維性組織球腫 / GIST / 予後因子 / フェチン |
Research Abstract |
本研究は、骨肉腫、ユーイング肉腫、消化管間葉系腫瘍(GIST)などの原発性骨軟部肉腫を対象として、その予後規定因子、治療感受性関連因子をゲノム・プロテオーム解析の手法を用いて明らかにすることを目的とする。本研究の特色は、実際の骨軟部肉腫臨床検体を用いて、その予後・治療感受性を規定している遺伝子およびタンパク質の発現情報を網羅的・統合的に明らかにしようとする点にある。 本年度は、各種悪性軟部肉腫およびGISTの凍結検体よりRNA・タンパク質を抽出し、Affymetrix U133 GeneChipを用いた網羅的遺伝子発現解析および蛍光二次元電気泳動・質量分析を用いた網羅的タンパク質発現解析を行なった。GeneChipを用いた悪性軟部腫瘍の網羅的遺伝子発現解析の結果から、いわゆる悪性線維性組織球腫(MFH)はその遺伝子発現パターンによって、平滑筋肉腫、脂肪肉腫など夫々の分化傾向を示唆するいくつかの亜型に細分類可能であることを見出した。蛍光二次元電気泳動法を用いた網羅的タンパク質発現解析により、悪性軟部腫瘍の各組織型を特徴づけるタンパク質を同定し、平滑筋肉腫のsubtype分類にtropomyosin発現が関連していることを報告した。GISTにおける網羅的タンパク質発現解析の結果、手術後1年以内早期再発(予後不良)群と2年以上無病生存(予後良好)群の間で、発現量の大きく異なるタンパク質を見出した。このタンパク質をコードするmRNAはGeneChip解析でも同様の発現変化を示した。質量分析の結果、このタンパク質はpfetin(フェチン)とよばれるタンパク質であることが明らかになった。GIST手術検体210例を用いた抗フェチン抗体による免疫染色およびWestern blottingでは予後良好群と不良群の間に有意(p<0.0001)な差を認めた。
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Research Products
(7 results)