2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫の肺転移メカニズムの解析および転移予防法の開発
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17591605
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Research Institution | Aichi Cancer Center Institution |
Principal Investigator |
杉浦 英志 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 研究員 (50303615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 健志 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 研究員 (10416167)
田口 修 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 室長 (00142167)
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Keywords | 骨肉腫 / 血管新生抑制 / LM8 / angiotensin II type1 / Candesartan / 腫瘍増殖 / 転移抑制 / VEGF |
Research Abstract |
骨肉腫において肺転移は生命予後に深く関わる因子であり、腫瘍の増殖、転移において血管新生(Angiogenesis)が大きく関与していることが報告されている。今回我々は降圧剤として一般的に使用されているAngiotensin II receptor antagonistに注目し、腫瘍の増殖や転移における血管新生抑制についての検討を行った。in vitroの実験では骨肉腫細胞株DunnとLM8細胞においてVEGFの発現を抗VEGF抗体を使用して免疫染色で評価したが、両者において有意な差は認められなかった。これは、腫瘍細胞そのものがVEGFを発現している可能性は少ないものであると考えられた。一方、in vivoの実験では、VEGF、AT1R(Angiotensin II type1 receptorポリクローナル抗体)染色を行ったところいずれも染色性が認められた。これは、腫瘍細胞が周囲の間質細胞との並存においてVEGFやAT1Rを発現するものであり、それによって血管の増生、腫瘍の増殖に関与するものであると考えられた。candesartan投与の実験ではコントロール群の腫瘍の重量は1.97g(1.36-2.92g)であったのに対し、candesartan 1mg/kg/day投与では1.39g(0.76-2.53g)でcandesartan投与群の方が腫瘍が縮小している傾向が見られた。また、肺転移に関しても肺転移結節数がcandesartan 0.1mg/kg/day投与群で平均10個、candesartan 1mg/kg/day投与群で平均8個、candesartan 10mg/kg/day投与群で平均10個であったのに対し、コントロール群では平均32個であり、candesartan投与群で有意に少ない傾向を示した。また、肝転移結節数もcandesartan投与群において有意に少ない傾向を示した。これらの症例ではVEGFやAT1Rが発現されており、Angiotensin II receptorを介して、Angiotensin II receptor antagonistであるCandesartanが腫瘍の増殖や転移の抑制に関与したものと考えられた。
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Research Products
(6 results)