2006 Fiscal Year Annual Research Report
ノルアドレナリン作動性下行性抑制系を介する抗うつ薬の鎮痛機序の研究
Project/Area Number |
17591607
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 聡一 北海道大学, 大学病院, 助手 (40281810)
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Keywords | 神経科学 / 薬理学 / 下行性抑制系 / 抗うつ薬 / 疼痛 / 脊髄 / GABA / 免疫組織染色 |
Research Abstract |
平成17年度の研究で抗うつ薬が脊髄でGABA作動性ニューロンを賦活することが示されたので,平成18年度は,GABA作動性ニューロンの賦活化にノルアドレナリン作動性下行性抑制系が関与しているか,関与しているとすれば,脊髄においてどのようなタイプのアドレナリセ受容体が関与しているかを明らかにした。計画に従い,アドレナリン作動性α受容体の拮抗薬であるヨヒンビン(6%ブドウ糖で溶解),プラゾシン(6%ブドウ糖液で溶解),および6%ブドウ糖液をWister系ラットの脊髄くも膜下腔に投与し,その15分後に,6%ブドウ糖液に溶解したアミトリプチリン60μgを脊髄くも膜下腔に投与した。アミトリプチリン投与後に脊髄でc-Fosタンパクが誘導され,そのピークは投与4時間後であることが,平成17年度の研究により明らかになっているので,今回もアミトリプチリン投与4時間後に,パラフォルムアルデヒドで固定し脊髄を取り出した。また,対照群では,6%ブドウ糖液のみを脊髄くも膜下腔投与し,その4時間後に固定し脊髄を摘出した。凍結切片を作成した後、抗c-Fos抗体を用いてDAB染色による免疫組織染色を行った。ヨヒンビン群及びブドウ糖投与後にアミトリプチリンを投与した群では,対照群に比べc-Fos発現の有意な増加を認めたが,プラゾシン群ではc-Fosの増加を認めなかった。以上より,アミトリプチリンによるc-Fos誘導は,α2拮抗薬では抑制されず,α1拮抗薬により抑制されることが示された。つまり,アミトリプチリンによるGABA性ニューロンの賦活は,α1受容体を介した反応であることが明らかとなった。
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