2006 Fiscal Year Annual Research Report
術後心臓合併症発現に及ぼす反射性循環制御機構の役割:性差/性周期によるアプローチ
Project/Area Number |
17591610
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 誠 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (50236634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 哲 秋田大学, 医学部, 助手 (00312702)
西川 俊昭 秋田大学, 医学部, 教授 (50156048)
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Keywords | 圧受容体反射 / 迷走神経 / 自律神経 / 心拍変動 / 女性ホルモン |
Research Abstract |
1.α2-agonistが全身麻酔中および覚醒後の心臓迷走神経反射の回復に及ぼす影響に関する研究 (1)健康成人男性12人を対象に、Neck-Chamber法を使い、セボフルレンを用いた全身麻酔前後における、dex-medetomidine 25μg/kgの静脈内投与が、心臓-迷走神経反射に及ぼす影響について検討した。 (2)その結果、dex-medetomidineは麻酔前の心臓-迷走神経反射の感受性を、4.2±1.0から5.9±1.6ms/mmHgへ33%有意に上昇させたが(P<0.05)。一方、セボフルレンを用いた全身麻酔中は、心臓-迷走神経反射の感受性には両群間で有意差を認めなかった(P=0.06)。 (3)全身麻酔後、覚醒下における心臓-迷走神経反射の感受性にも両群間で有意差は認められず(P=0.07)、迷走神経機能の回復に2時間を要した。 (4)以上の結果より、α2-agonistであるdex-medetomidineは迷走神経反射を亢進させるが、セボフルレンによる迷走神経抑制作用の方が強く、全身麻酔の影響下ではその迷走神経賦活作用を見出せなかった。 2.周術期における迷走神経反射と心臓合併症発現頻度の関連に関る研究 (1)虚血性心疾患を有し本院ICUに帰室する患者を対象に、Oxford法を用いて周術期の心臓-迷走神経反射と血中エストラダイオール、ならびに心筋酵素(CPK-MBアイソザイム、トロポニンT)を測定した。また、ICUにおける重篤な不整脈や心筋虚血の有無も観察した。 (2)本研究の対象となる患者は1年間で13名(男性8名、女性5名)しか該当しなかったため、統計学的検索は出来なかった。 (3)術前および術後の心臓-迷走神経反射の感受性、術後の重篤な心臓合併症の発生頻度に性差は認められず、反射感受性と合併症の発生頻度に相関は見られなかった。女性患者は全例閉経後であり、血中エストラダイオール濃度が低く、性周期による考察は出来なかった。 (4)以上より、迷走神経反射と術後の心臓合併症発現頻度の関連に関る研究は、さらに症例数を増やして検討する必要があると結論された。
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