2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患者の周術期管理-特に誤嚥リスク評価法の確立
Project/Area Number |
17591616
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 敦子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40302559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 史朗 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80212968)
関根 康雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70312957)
西野 卓 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80009703)
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Keywords | COPD / 呼吸 / 嚥下機能 / 気道防御反射 / 呼吸苦 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に記載したように1)COPD患者における術前の嚥下機能評価と、2)COPD患者同様の呼吸苦が存在する状況での気道防御反射について研究を進めた。 1.COPD患者の嚥下機能に関する研究 3名の重症COPD患者において、術前に嚥下機能評価を行うことが出来た。蒸留水による持続的な咽頭粘膜刺激による嚥下誘発に対する嚥下回数、嚥下のタイミング、誤嚥の有無について健常成人との比較を行った。健常成人に比較して、嚥下回数に関する違いは無かった。誘発された嚥下の呼吸相に対するタイミングは、健常成人では、ほとんど呼気相あるいは吸気の終わりであったのに対し、COPD患者では吸気相あるいは呼気終了時にも多く認められた。これは、嚥下が十分に機能し気道内から異物を排除できない場合には引き続く吸気時に異物を下気道内に誤嚥してしまう可能性があることを示唆し、COPD患者における誤嚥性肺炎のメカニズムに結びつく可能性もあり重要な発見と考えられた。対象COPD患者数を増加させ今後さらに研究を進める予定である。 2.呼吸苦の存在が気道防御反射に与える影響の研究 23名の健常成人に実験的にCOPD患者と同様の呼吸苦を与え、呼吸苦が酢酸吸入により誘発された気道防御反射機能にどのように影響するか、また、気道防御反射の誘発が呼吸苦にどう影響するかを調べた。最終的な結果は解析中であるが気道防御反射が誘発された場合、もともと存在する呼吸苦そのものは質的量的にも増強するが、呼吸苦が増強しても誘発される気道防御反射には質的機能的には大きな変化が無いという結果を得た。したがってCOPD患者における気道防御機能低下には低肺機能による呼吸苦の存在そのものは大きく影響せず、他の因子が関与しているものと考えられる。
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